1.エネルギー安全保障のための代替エネルギー開発
大東亜戦争開戦時において、日本が人造石油(石炭の液化等)の大量生産に成功していたら、米国が石油禁輸をしても、開戦に追い込まれずに済んだ可能性を指摘した。
代替エネぎー開発は、一国のエネルギー安全保障にとって、有効な手段となるが、それには長い時間がかかる。長期ビジョンのもとに進める必要がある。
ここでは、代替エネルギーに関する最新の技術を紹介しよう。
2.「燃える氷」メタン・ハイドレート
ひとつは、「燃える氷」と呼ばれるメタン・ハイドレートである。これは堆積物の中で生成された有機物のメタンが氷の結晶に取り込まれ、地中や海底の高圧と低温でシャーベット状に固まったもの。1立方メートルのメタンハイドレートから、約170立方メートルのメタンガスが生成される。
このメタン・ハイドレートが紀伊半島東側に広がる東部南海トラフに1.1兆立方メートル存在することが、最近の海底調査で判明した。日本近海全体では現在の天然ガス消費量の百年分以上の資源量が存在する可能性が出てきた。
問題はコストで、水深1千メートルの海底を2~300メートル掘らなければならないので、現状での推定コストは1バーレル54~77ドル。昨年のLNG価格が41ドルでまだ開きがあるが、技術改良によるコストダウンと、LNG価格自体の高騰で、商品化の可能性は充分あると見られる。
メタン・ハイドレートの活用で、世界的なエネルギーコストの上昇の中でも、安定した国民生活を送れるようにすることを目指すべきだ。
3.低品位石炭
石炭は火力発電や製鉄などで活用され、今も世界のエネルギー消費の4分の1を占める。しかし、日本はその大半を高品位の歴青炭に依存している。内部に25~40%の水分を含む褐炭は熱量が低いために敬遠されてきた。
神戸製鋼では、150度の灯油で加熱して「天ぷらの原理」で褐炭の水分を飛ばす技術を開発した。経済産業省の支援を受け、インドネシアでプラントを建設し、実証試験を行う。
褐炭は硫黄分が瀝青炭の3分の1と低く、燃やしてもSOx(硫黄酸化物)などの排出が少ないので、環境にも優しい。
石炭は、石油やガスに比べて埋蔵量が多く、しかも広く分布していることから、エネルギーの安定供給を確保する上で、重要な役割を果たす。その中でも褐炭の埋蔵量は、石炭全種類の約半分を占める。これが新たに利用できるようになるわけである。
このような代替エネルギー開発によって、日本がエネルギーの自給体制を築く可能性は十分にある。国家戦略として、これらの技術開発に注力すべきである。(「国際派日本人の情報ファイル」より)
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