政界のフィクサーと言われた辻嘉六氏のお嬢さん(と言っても九十歳の高齢なのだが)のパーテイに私の次女を連れて顔を出したのが半年前のことになる。ホテルオークラの大広間を埋め尽くした政財官界の大物が揃って並び立った盛況ぶりに驚いた。
車椅子の宮沢喜一氏の最後の姿をみたのもこのパーテイだった。小沢一郎氏、加藤紘一氏、村山富一氏、野中広務氏、綿貫民輔氏、海部俊樹氏、藤井裕久氏、石原伸晃氏、塩崎恭久氏ら約千人。岩見隆夫氏の姿もあった。
しばらくしてお嬢さん?から電話があった。「三ヶ月以内に安倍は退陣するわよ。みていてご覧!」。気になったので、別の筋から、この情報を確かめた。「早耳だね。後は福田。何とか二年は持たせる。選挙は、その後」。奇想天外な話なので半信半疑でいた。
もうひとつ奇想天外な話がある。来るべき総選挙の前後に小泉氏が政界再編成を仕掛ける。民主党を巻き込んでガラガラポン。岡田首相だってあり得る・・・。
この半信半疑だった政界劇が、今、目の前で繰り広げられている。仕掛け花火の震源地は旧宏池会と旧経世会。それに清和会が乗った。パーテイのメンバーの中に仕掛け人の姿が何人かいる。もちろん同床異夢、それぞれの思惑を描いているのだろう。
森首相から小泉、安倍と清和会の総理・総裁が続いた。そしてまた福田首相が誕生しようとしている。四代も清和会の首相が続くのは、戦後政治でも極めて異例なことである。田中支配の長期化が弊害を招いたように、ひとつの派閥の支配が続くと水が淀んでくる。
その先に大きな政界再編成があっても不思議ではない。小泉氏がそれを睨んでいるのは、十分に考えられる。もっとも裏方に徹するのだろう。だからポスト安倍で再登板コールを浴びせられても「100%ない」と言い切ったのだと思う。政策面で水と油のような福田氏を小泉氏が支持した謎は、このあたりにあるのではないか。
993 奇想天外の政界劇 古沢襄
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