1028 福田新政権のあとにくるもの 宮崎正弘

“自民党”なる政党は鵺的存在、その崩壊の始まり
明日(一〇月六日)放送の「桜チャンネル」三時間スペシャル(土曜午後九時から)は、五日に録画撮りが行われ、以下のように進んだ。
番組名「日本よ、いま、闘論、倒論、討論! 2007」は、水島総氏の司会により、「福田内閣発足から見えてくるもの」と題されている。
まず日下公人氏が口火を切った。
「自民党は1650万票で、前回より20万票減らしただけ、仕組み的に議席は“惨敗”にみえるが、民意は激変したわけではない。これから安倍前政権の行ったことに民意の支持が出てくる」とされて、討論が始まった。
田久保忠衛氏は「藤村の『夜明け前』は幕末幕閣の緊張感のなさ、堕落から維新への火蓋がいかに切られたかが描かれているが、これから夜明け前が始まる」
西部遇氏は、「福田さんの所信表明を聞くと、まるで社会民主主義、これじゃ日本の首相は福島瑞穂と変わらない。みなが、戦後体制の温存を願っている、というのが民意とすれば(馬鹿としか言いようがない)」。
 
上島嘉郎氏は「安倍さんはメディアに倒された側面が強いが、では安倍政権はいかなるメディアへのアプローチが可能だったのか」。
遠藤浩一氏は「見たくない現実をみるのがリーダー、見ないのが庶民である。いったい、安倍政権発足のとき、戦後体制の克服という理念と基本路線を自民党はあげて支持し、今度は、体制維持の福田政権を大半が支持する。この矛盾を抱えた自民党は政党として耐えられるのか」
上杉隆氏は「理念なき自民党政治が再来した。福田支持の八派は、その支持表明を福田氏の政策発表前に行った。つまり、これは自民党崩壊の始まり、という印象だ」
 
番組のなかで、小生は「自民党は改憲を掲げているのに、護憲が何人もいるという矛盾に満ちたグループであり、近代政治学でいう政党とは、ほど遠い存在だろう。また福田政権は無能の評価ばかりだが、一点突破をねらって北朝鮮と妥協し、それを目玉にする危険性があるのではないか」と指摘した。
議論は、デモクラシー、民度、福田外交の展望、対中外交と米国とのバランスなどをめぐって丁々発止の三時間となった。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)

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