今の与党は自民・公明連合政権だが、小選挙区で自民党候補は創価学会・公明党票の恩恵を受けている。恩恵票は一選挙区当たり三万票という推定試算もある。
同じ現象が民主党と共産党の間でも起こりうる可能性があると東京新聞が分析した。この民主・共産提携が機能すると、来るべき総選挙では民主党は小選挙区で百六十八議席を獲得、比例をあわせると二百五十三議席で、単独過半数に達する。逆に自民・公明は二百十二議席しかとれない。
だが、この机上の計算には無理がある。共産党は民主党を支持する方針を打ち出したわけでない。党組織の力量に応じて三百小選挙区中ほぼ半数に候補者擁立を絞ろうとしているだけである。候補者を擁立しない選挙区の共産党票が、すべて民主党に流れるという前提がつく。
しかし、それで民主党の単独過半数が実現したら、共産党のタダ働きになってしまう。自民・公明のような選挙協力とは本質的に違う。自民・公明政権は倒したが、民主党単独政権の誕生に手を貸したでは、志位委員長の責任が問われかねない。
共産党にとって一番望ましいのは、衆院の現有九議席をフタケタに伸ばして、民主党が共産党の議席を加えなくては、過半数に達しない状況を生むことであろう。民主・共産連合政権とはいかないまでも、政策面で部分連合という形態が出来るかもしれない。
だが、それでは民主党内の保守派が反発する。政権獲得のために共産党と手を組むとなれば、民主党そのものが分裂する危機を招きかねない。民主党にとっての狙い目は、共産党票ではなくて、自民党を割る政略でしかない。小沢一郎氏は虎視眈々と、それを狙っているのであろう。
<来春にも衆院解散・総選挙が予想され、各党が「戦闘準備」を急いでいる中、各党の獲得議席に、大きな影響を及ぼしそうな事態が起きている。共産党が次期衆院選で小選挙区の候補者を厳選する方針を打ち出したことを受け、本紙が七月の参院選データをもとに、シミュレーションした結果、民主党が躍進し、自民・公明が議席を減らす可能性が出てきたことが分かったのだ。七月の参院選で勝った民主党は、今国会でも与党への攻勢を強めているが、衆院選に向けても新たな追い風に乗るチャンスが出たことになる。
共産党は、先月の中央委員会総会で「現在の党組織の力量を効果的、効率的、積極的に比例代表に集中する」(志位和夫委員長)ため、(1)参院選比例代表での得票率が8%以上の選挙区に擁立する(2)一人も擁立しない都道府県はつくらない-という小選挙区の候補を大胆に絞り込む方針を打ち出した。
これをもとに試算したところ、共産党の擁立選挙区は三百小選挙区中、百三十五に絞られる。擁立しない百六十五選挙区で、七月の参院選比例代表で共産党に投票していた層が、すべて民主党に流れると仮定すると、民主党は小選挙区で百六十八議席を獲得、比例をあわせると二百五十三議席で、単独過半数に達する。逆に自公は二百十二議席に沈む。
「共産票」から民主党に流れるのが半分だとしても民主党は過半数の二四一に迫る二百三十九議席を獲得する。
もちろん七月の参院選は、民主党に追い風が吹く中での選挙だったため、計算通りに得票できる保証はない。ただ、共産支持層の票が自民・公明に流れるとは、想定しにくいだけに、民主党を中心とした野党結集に弾みがつくことは間違いなさそうだ。(東京新聞)>
1040 民主・共産政権? 古沢襄

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