1049 横浜国大生の誘拐事件 古沢襄

大阪府出身で二十三歳の横浜国立大四年生がイラン南東部で、武装集団とみられるグループに誘拐された。イラン南部の治安悪化が伝えられている折から、不用意な旅行といわねばならぬ。何の目的で危険地帯に足を踏み入れたのであろうか。
高村外相はイラン政府から、この学生の拘束場所、犯人グループ像の特定がほぼ済んでいるとの情報を得ていると記者会見で述べた。
今のところイスラム原理主義者らによる犯行ではなく、盗賊グループの犯行のようで十日夜の段階では、この学生の生存は確認されている。しかし他国には日本の警察力は及ばない。イスラム国家では盗みや金銭目的の誘拐犯には厳しい処断で接している。
拘束場所、犯人グループ像が特定されたとすれば、日本政府の要請にもかかわらずイラン警察や治安部隊が強行手段に出る可能性がある。とくに相手が武装集団といわれているので銃撃戦になるおそれがある。
誘拐されたこの学生はイランの日本大使館に直接電話をしてきたという。誘拐犯が日本政府との直接交渉を狙って学生に電話をさせたのかもしれない。誘拐情報がイラン政府の知るところになったことで誘拐犯がどう出るか、これも気がかりである。
福田首相の父・福田赳夫氏は首相在任中の1977年に起きたダッカ日航機ハイジャック事件では「人命は地球より重い」として犯人側の人質解放の条件を飲み、身代金の支払いおよび、超法規的措置として囚人の引き渡しを行った。このことでテロリストの脅迫に屈したと国際的な批判を浴びている。
再び「人命は地球より重い」として父親同様に高額な身代金の支払いで事態の解決を図るつもりなのだろうか。

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