1062 後藤新平が満鉄などに行かなければ 伊勢雅臣

台湾の李登輝前台湾総統が以下のように言われたと、産経新聞論説委員長・千野境子氏が紹介している。
後藤新平が満鉄などに行かないで、台湾にいて南進政策をやっていたら、満州に手を出さないで日本は海洋国家として違う日本になったと思う。大陸へ行ったがゆえに大変なことが起きた。日本は文化と海洋による国家を造らなくちゃいけないんだ・・・
確かに、満洲へ向かう方向は、日本にとって鬼門だった。日本はこの地に膨大な投資を行い、多くの優れた人材を投じた。わずか10数年で、終戦時の中国大陸の重工業の約90%を占める高度産業国家を忽然と出現させたのである。
後藤新平を含む我が先人の偉業を我々は大いに誇ってよいのであるが、「大陸へ行ったがゆえに大変なことが起きた」という李登輝前総統の言葉も歴史的な事実である。
中国大陸での共産革命を狙うソ連と毛沢東によって、日本は蒋介石との戦いに引きずりこまれた。そして、それが原因となって、中国市場を狙う米国とも対立することとなった。日本が中国大陸に進出していなければ、毛沢東と戦う蒋介石を英米と共に支援していただろう。
歴史上のIFは繰り言にしかならないが、「日本は文化と海洋による国家を造らなくちゃいけないんだ」という李登輝氏の言葉は、今後の日本の進路を考える上で重要な示唆を含んでいる。
日本文化は自然と共生する。そしてわが国は世界第6位、451万平方キロに及ぶ200海里排他的経済水域(EEZ)を持つ海洋大国である。美しく、豊かな、かつ自由な太平洋を、台湾を含めた海洋アジア、オーストリア・ニュージーランド、そしてアメリカと力を合わせて守っていくことが、わが国の国家戦略であろう。(「国際派日本人の情報ファイル」より)

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