欧米メディアは、今次大会の分析で優れ、具体論では顔色を失うほどの誤報が目立った。
日本の特派員の強みは、漢字が読めること。したがって発音の微妙な差でも人物を特定できるほどの語学の達人が北京特派員に多い。外国人は発音だけのアルファベット表記だから、人名を往々にして取り違える。
ともかく、共産党大会の総括?あれはPTA総会ではなかったのか。
法的になんの根拠もないのに、江沢民が雛壇の中央に座り、お目付役のごとく、過去の「老害」的な長老が並ぶという異常事態。共産党青年団をつけあがらせるな、太子党の既得権益を守れ、という暗黙の大合唱が会場に溢れていたかのような印象を受けた。
「三下四上」の常務委員会は、結局、胡の子分は李克強ひとり、である。あとは江沢民の影響下にある太子党が占め、新鮮味に徹底的に欠ける。
政治局の新任でとくに注目は王岐山と張高麗。王は助っ人専門の有能な人物である。
新たに中央委員に加わったなかで、江蘇省委書記の李源潮﹑重慶市委書記の汪洋(この二人は政治局員にも昇格)﹑海南省委書記の衛留成﹑貴州省委書記の石宗源﹑廣西自治區書記の劉奇葆﹑山西省委書記の張寶順﹑浙江省委書記の趙洪祝﹑吉林省委書記王某、青海省委書記の強衛らにも注目が集まった。
また「自治区」の代表の多くが中央委員になったのも特徴的である。
廣西自治區主席の陸兵﹑チベット自治區主席の向巴平措﹑青海省長の宋秀岩﹑貴州省長の林樹森﹑海南省長の羅保銘﹑山東省代省長の姜大明﹑雲南省長の秦光榮﹑陝西省長の袁純清﹑甘肅省長の徐守盛﹑河北省長の郭庚茂﹑福建省長の黃小晶﹑江蘇省長の梁保華﹑四川省長の蔣巨峰﹑吉林省長の韓長賦。
「団派」(共産主義青年団)の勇躍は中共中央辦公廳主任の令計劃﹑共青團團中央第一書記の胡春華﹐この二人は胡錦濤の嫡系である。
外交方面でも新人が顕著となった。
外交部長楊潔チ﹑外交部副部長が前駐日大使の王毅﹑人事部長は尹蔚民﹑國務院僑辦主任は李海峰(女性)﹑水利部長陳雷﹑新聞出版總署長柳斌杰﹑國家安全部長の耿惠昌﹑國土資源部長の徐紹史﹑財政部長の謝旭人。
次期部長含みの人事で注目は中央組織部常務副部長の沈躍躍﹑中宣部常務副部長の吉炳軒﹑統戰部常務副部長の朱維群。
「太子党」で著名なのは!)楠と劉少奇の息子で軍事科學院政委の劉源。これらの人達が「中央委員」のなかの注目株である。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)
1093 民主化の前兆と評価した米国メディア 宮崎正弘

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