1100 国家犯罪をおかした側の日本批判 古沢襄

あら探しをするわけではないが、金大中事件を巡る韓国の最終報告をめぐって、日経新聞の報道が面白い。23日の紙面では柳明桓駐日大使が明日、外務省にきて「日本の主権を侵害していたとして陳謝する」と報じた。
世間の常識ではそうであって当たり前。泥棒が他家に侵入して犯罪をおかして捕まれば「悪いことをしました」と、まず謝罪するのが当然である。だが「カギをかけていなかったのは、そちらにも落ち度がある」と開き直ったら、袋叩きにあうのがオチであろう。
24日に外務省にきた柳明桓駐日大使は結局は謝らなかった。そこで日経新聞は「近く公式に陳謝する考えを示唆した」と苦しい紙面を作っている。相手の良識を信じたい優しい心だから誤報と非難するのは酷であろう。
<韓国の情報機関である国家情報院が、1973年8月に都内のホテルで発生した当時の野党指導者、金大中氏(前大統領)の拉致事件に関して「中央情報部(KCIA=同院の前身)が主導的に関与した」と初めて公式に認めたことが23日分かった。韓国政府は「日本の主権を侵害していた」として柳明桓(ユ・ミョンファン)駐日大使が24日に木村仁外務副大臣と会い、経緯を説明して陳謝する。(日経新聞・23日)
韓国の柳明桓(ユ・ミョンファン)駐日大使は24日午前、外務省で木村仁外務副大臣と会談し、金大中事件を巡る最終報告を説明し、日本の主権に対する侵害について近く公式に陳謝する考えを示唆した。(日経新聞・24日)>
日経新聞のように韓国の良識を期待したい。近く陳謝してくれることを願っている。そうあって欲しい。謝罪しなければ日本国民は韓国を信じなくなる。
日本側だって田中首相と大平外相が札束を貰って政治決着したという噂が当時は飛びかったのだから、あまり威張れたものではない。だが、それを非難するのは日本国民である。札束を貰ったどうかは別として、政治決着の不明朗さに日本の新聞は筆を揃えて批判している。だが軍事政権下の韓国のマスコミは、どうだったのか。
金大中氏も少しおかしいのではないか。当時、軍事政権下で迫害されていた金大中氏を日本に招いたのは自民党の有志議員であった。ホテルでKCIAに拉致されたらしいとの情報をキャッチしたアメリカ大使館の情報で、自衛隊機が飛び立ち、不審船の頭上で照明弾を投下する威嚇行動をとった。
アメリカはソウルと東京で軍事政権に圧力をかけている。それなのに「明確な証拠を持ちながら、捜査を放棄した日本政府と、これを隠蔽した韓国政府の両方に深い遺憾の意を表明する」と金大中コメントを出している。
日米両国の素早い動きがなかったら、不審船上で金大中氏が殺害されていたことは、ご本人が認めているではないか。北朝鮮の方ばかり見ているから、こういう発言が臆面もなく飛びだす。
軍事政権であれ、韓国という国家が日本の国内で主権をおかす犯罪行為をしたのは、国家犯罪である。それを韓国国家情報院の真相調査委員会が公式に認めたのだから、日本に対して謝罪するのが先決である。
その後の両国政府による政治決着は、それぞれの国で厳しく糾弾されねばならない。国家犯罪をおかした側が、日本政府が犯罪捜査を放棄したと非難するのは、お門違いではないか。

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