ミラノ製薬見本市に「怪しげな」中国の製薬企業82社が堂々の出品
NYタイムズがすっぱ抜いた。ミラノの国際製薬見本市に出店している中国の製薬企業のうち、薬品企業としての許可のない化学材料の企業が多く含まれ、その展示の新薬は、検査もなにも受けていないと言うのだ(同紙11月1日付け)。
「オナー・インタナショナル」社は、米国へ模造品を輸出したとして批判されたのに、平気でミラノの国際製薬見本市に展示している。同社は3041個のバイアグラのニセモノをDHLでオハイオ州の顧客に送った事件で07年一月に手入れされた。
ほかにも正規の製薬工場がないもの、昨年の見本市で逮捕された企業まで含まれ、あのパナマとハイチで数百名の犠牲がでたインチキ風邪薬の会社まで出店しているというではないか。
精神分裂症状や癌予防、或いは血液効果、アルツハイマー予防などに利くと堂々と偽っての新薬を展示申請した「オリエント・パシフィック・インタナショナル社」は、会長のケビン・シュー自身がミラノ展示会には出席できなかった。なぜならシューはインチキ薬品を売った廉で、米国ヒューストンの刑務所に入っているからだ。
安い薬品をもとめる開発途上国では、特許の問題もあって、認可されないエイズ予防薬なども開発され、特例としてインドなどでは売られているが、中国の場合は化学工場が、製薬原料を開発供給する。
▼中国では製薬と化学の境界線が曖昧
たとえば化学肥料工場が、製薬に転化できそうな原材料を製薬会社に供給し、そのうち、自分たちも薬品をつくった方が儲かるということになったのだ。
NYタイムズの調べでは、過去の輸出実績がまるでない中国の化学企業82社がミラノ見本市に出店しているという。それらは中国の当該検査機関の査定さえ受けていない。
米国のインターネットで売られている薬品配合成分は1300社が、ネット上でビジネスを展開している。中国の化学工場は、八万社。世界150ヶ国に同様の配合製粉を製薬原料として輸出している。
日本では医者の処方箋があって薬局が厳重に管理・販売するシステムだから、薬局に納めるカネはたしかに高くても、安心感がある。これこそが医療、薬品の安全保障だが、その日本でも、ネットで売られる怪しげなビタミン剤やバイアグラ類似品はおおよそ野放し状態である。
猛毒食品が下火になったら、つぎにインチキ製薬。面妖きわまりない化学合成薬品。またも中国のビジネス・モラルの根源が問われる事態が出来した。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)
1146 中国から、こんどは夥しいインチキ薬品 宮崎正弘

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