大連立が急浮上して大騒ぎとなったのは、不意を突かれた与野党議員とマスコミ。この話が壊れれば、解散・総選挙が早くなる可能性が強まる。自民党も民主党も来年春に照準を合わせて選挙準備をしてきている。
そして民主党の役員会で大連立に乗らないことが決まった。選挙準備を急がねばならない。その事情は自民党も同じだが、話が急だっただけに、まだ選挙モードに切り替わっていない。
解散権は首相の専権事項である。時の政権にとって、一番有利と判断する時期を狙って、解散に踏み切る。今国会は間もなく会期切れとなるから、会期延長をせねばならない。その延長幅が大きければ、来年一月総選挙が視野に入ってくる。
与野党の選挙対策関係者が一番注目しているのは、今度の大連立劇が国民の目にどう映ったかであろう。世論調査がどう出るか?不意を突かれたマスコミは、唐突だと批判的な紙面を作るであろう。そのアナウンス効果がどう出るか。
私の予想では、自民党も民主党も支持率を下げて、無党派が増える気がする。支持率の下げ方にもよるが、その状況下で選挙戦に入るのは、一種の賭けになるかもしれない。
自民党の支持率が下がって、民主党の支持率が上がっていれば、福田首相は軽々に解散権のダンピラを振りかざすわけにはいかない。隠忍自重してやり過ごすこともあり得る。会期延長幅も大幅延長とはいくまい。
解散・総選挙が必至となれば、噂が出ている新たな拉致被害者の帰国問題が現実味を帯びて動き出すことも考えられる。
新テロ対策特別措置法案の扱いは、二つのケースが考えられる。
安倍前首相なら会期を大幅延長して、参院で否決されても、衆院の三分の二で再議決する強行突破を目指すであろう。当然、解散・総選挙は早まり年内にもあり得る。
福田首相はどうであろうか。党首会談では、小沢氏の年来の主張である国際的な平和活動のために自衛隊海外派遣を随時可能にする「恒久法」に耳を傾けている。会談の途中でわざわざ外部と連絡をとって「恒久法」の内容が、受け入れ可能か模索したという。
「恒久法」と新テロ対策特別措置法案のセットで事態の打開を図ろうとしたのではないか。しかし与野党内には「恒久法」が現行憲法に抵触するという異論がある。セット論は党首会談だけで決められるものではない。
そう考えれば、セット論はむしろ通常国会に持ち越し、ガラス張りの国会論議の中で打開を図る道を選ぶ気がする。インド洋における海上自衛隊の任務は、すでに中断されている。慌てて拙速の道を選ぶ必要はない。福田流なら、この可能性が高いとみるが、どうであろうか。
1147 解散・総選挙とセット論 古沢襄

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