1173 山田洋行と政界との癒着構造(1) 古沢襄

急成長を遂げた山田洋行と政界との癒着構造は、東京地検特捜部によって解明が急がれている。山田洋行が急成長を遂げた蔭には、防衛庁OBの田村秀昭前参院議員の存在があったといわれている。田村氏の政界進出の蔭には、国防族議員のドンといわれた実力者・金丸信氏の後押しがあった。
だが、この時期には山田洋行は、まだ微々たる存在に過ぎない。特捜部に逮捕された宮崎元伸元専務も旧田中派とのパイプを持つに至っていない。やはり田村氏が政界に進出したことによって大きな役割を果たしたとみるべきであろう。しかし、この癒着構造は時効という大きな壁に阻まれている。
田村氏の時代が山田洋行の急成長の第一段階とすれば、第二段階は守屋防衛次官になる。いずれの時代にも宮崎容疑者が深くかかわっている。田村時代の解明の先には守屋時代というのが特捜部の狙いであろう。
この関係について産経新聞は整理してまとめた企画記事を書いている。
<政治家が国の防衛装備選定に介入する。普段は見えないその「奥の院」の動きがちらりと垣間見えたのは、平成6年夏のことだった。
「さまざまな疑惑がある以上、防衛庁(現防衛省)の結論は承認できない」
新生党などの旧連立政権が瓦解し、自民党が政権に返り咲いた直後の同年8月、村山内閣の自治相になった野中広務がこう発言し、防衛庁のUX(次期多用途支援機)選定に待ったをかけた。
防衛庁が翌年度から9機調達を計画したUXは、総額400億円近い巨額商戦だった。米ガルフストリーム社製など3機種が候補となり、旧連立政権下で進められた選定でガルフ社製の調達が内定していたが、野中の一言で白紙に戻された。
野中は当時、取材にこう語っている。「防衛庁出身議員がすべて新進党に行った結果、防衛庁の自民党に対する空気が一変し、防衛産業も右へならえした。UX選定には防衛庁出身議員の動きなど疑惑が多すぎる」
野中の言った「出身議員」とは、元空将で当時新進党参院議員だった田村秀昭のことだ。
UXの選定が始まる直前の6年5月、田村はガルフ社製の同型機を格安の費用でチャーターし、自衛隊の海外活動を視察していた。「あれは選定現場に対する露骨なデモンストレーションだった」と同庁OBは言う。
政権交代のはざまで、巨額の「防衛利権」にたかる政治家の姿が見えた場面だった。(続く)>

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