1184 年内解散の可能性 古沢襄

衆院テロ防止特別委員会はインド洋での給油活動を再開するための新テロ対策特別措置法案を与党多数で可決した。与党は十三日の衆院本会議で可決し、参院に送付する方針でいる。
与野党の主戦場は野党が多数となった参院に移るが、野党は新テロ対策特別措置法案の審議に入らずに民主党が提出したイラク復興支援特措法廃止法案の審議を優先する構えでいる。国民には理解が難しい駆け引きである。
政府・与党は野党の廃止法案を早く参院で可決させ、衆院で否決したいのであろうが、野党は自ら法案を提出しながら慎重審議で時間稼ぎして、肝心の新テロ対策特別措置法案の審議入りを遅らせる腹だろう。これも国民には分かり難い。
そうは言いながら民主党は国民の目が気になる。産経新聞社がFNN(フジニュースネットワーク)と合同で10、11の両日実施した「政治に関する世論調査」では、9月末に発足した福田康夫内閣の支持率は41.1%と前回よりも14.2ポイント下げ、不支持の40.3%とほぼ並ぶ結果となった。民主党にとっては朗報であろう。
もっとも福田首相と小沢代表の党首会談実現を評価する人は68.4%にのぼった。自民、民主両党間の政策協議の実施については、90.9%が賛成している。いたずらに駆け引きに走って、重要法案が通らない「ねじれ国会」からの脱却を望む声が、世論の大半を占めている。
政党支持率は、自民党が32.2%と前回の33・9%より1.7ポイントの減。民主党も26.5%と前回の28.1%より1.6ポイント減らし、2大政党はともに支持率をわずかに下げた。(産経新聞)
このあたりの民意をどう判断するか、民主党も今の時点で選挙を迎えるのは不利なのは間違いない。日曜日のテレビで自民党伊吹幹事長は新テロ対策特別措置法案をめぐり、①参院で福田首相の問責決議が可決の場合や、②法案が採決されない場合は、首相が解散・総選挙に踏み切る可能性があると強調した。
売り言葉に買い言葉で鳩山幹事長は「受けて立つ」と言ったが、本心ではあるまい。だが新テロ対策特別措置法案が参院で採決されない場合は、解散もあり得ると伊吹幹事長が明言した意味は大きい。解散カードをめぐって両党の綱引きが続きそうである。
町村官房長官は札幌市内の講演で「予算を来年3月末までに成立させる。7月には北海道洞爺湖サミットも行われる。解散している暇なんてない」と言ったのはスジ論。首相の女房役が解散風を吹かすわけにはいかない。
福田首相は相変わらず飄々して柳に風の風情。政界では首相は解散で”嘘”をいうのは許されている。町村官房長官は「首相の頭の中には解散のかの字もない」と重ねて強調したが、まともに受け取る議員はおるまい。
やはり総選挙で決着をつけて、ねじれ国会で与野党間の政策協議というルールを確立することが先決であろう。産経新聞の世論調査がそれを示している。私は12月解散、来年1月選挙の可能性が強いとみている。

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