1190 宗教弾圧を機密文書で通達 宮崎正弘

「博訊網」(11月14日)が伝えるところに依れば、胡南省刑州市当局の機密文書(7月27日付け)が明かとなった。
そこには「地区の統戦部、民族宗教事務局および公安分局は、相互の連絡を取り合いながら、家庭教会の、これ以上の蔓延と拡大を抑制せよ」とする命令が述べられ、「これらは党中央から通達に基づく」とされていた。
この機密文書はキリスト教のNGO「対中援助教会」が、信者を通じて密かに入手したという。
地下教会、家庭教会とは、キリシタン弾圧下の地下室信仰に似ており、或いはコミュニティの集会施設が、とつじょ戸棚を開けたらマリア像がでてくるような設備。中国全土に地下教会の信者はおよそ六千万人と推定されている。
国連の「世界人権宣言」(1948年12月10日、国連決議217A号)は、何人も宗教の自由、結社の自由は保障されると謳っている。
その国連の常任理事国たる中国が、国連決議を守らないとは何事かと、欧米は、こと宗教問題となると目をつり上げて中国を批判する。
スーダンの大虐殺を批判して、スーダン軍事政権を支援する中国に対して「北京五輪ボイコット」を呼びかけているのは欧米の人権団体だ。この輪は世界的規模で広がっており、西側で五輪反対運動に恬淡なのは日本ぐらいだろう。
親中派が多い米国議会でも下院議長ペロシ女史は、もっとも強硬な中国非難を繰り出すことで有名。その基礎にあるのは人権問題である。
▼中国進出の自国企業の現場で労働条件を監視している欧米
さて日本では殆ど知られていないが、中国に進出した米国企業は「人権チェック」なるものをNGOなどの機関から受ける。ドイツ企業の一部もそうだという。そういうシステムが人権団体の「活躍」によって普遍的になっている。
アンケート調査により、労働時間、労働条件、労働環境などが厳しく監査される(たとえば週五十時間労働とか、従業員の食事、宿舎の環境、衛生状態、睡眠平均時間など)。
そして条件に満たない企業からの対米輸出は認められない、という厳しい条件が課せられ、この「強制力効果」により、中国の労働現場は幾分改善されている。
日本企業ははじめから世界一条件のより環境のもとで、生産活動を行っているから問題ない、と胸をはって、言えるかどうか。
現場を中国人にまかせ、労働現場の宿舎の運営を中国人に任せて、ある日突如、共産党細胞を結成されてオタオタしているのがオチじゃありませんか?(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)

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