米国の北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除は秒読みの段階に入った。韓国の保守系紙・朝鮮日報は今週がヤマ場だと報じた。しかし16日には福田・ブッシュ首脳会談が行われる。その翌日に指定解除とは勝手気ままな米国でもやるまい。やれば非礼に当たるからである。
しかし来週が大きなヤマ場となるのは間違いなさそうだ。危機感をつのらせた拉致被害者家族会や支援団体の「救う会」、超党派の国会議員でつくる「拉致議連」は相次いで訪米団をワシントンに送り、指定解除に慎重に対応するよう関係方面に働きかけた。
米側は米国務省のケーシー副報道官が13日の記者会見で、「拉致問題は(指定解除と)必ずしも具体的に関連づけられているわけではない」と述べている。さらに「北朝鮮が核プログラムの無能力化、解体に進めば、いずれは解除できる状況になると期待している」と指定解除が近いことを示唆した。
首脳会談で福田首相が拉致問題の解決をみるまで指定解除をしないようブッシュ大統領に要請する方針だが、訪米帰国後に時間を置かずして米国が指定解除に踏み切れば、何とのために訪米だったのかと、国会で野党から追及される。いずれにしても政治問題化するのは避けられない。
朝鮮日報は指定解除について次ぎのように分析している。
<北朝鮮のテロ支援国指定解除問題がヤマ場を迎えている。指定解除の是非を占う上で、三つの不確定要素が浮上している。
まず、米ブッシュ政権が年内に解除に踏み切るためには、北朝鮮が解除条件を満たしたとする報告書を16日までに議会に提出しなければならない。同報告書には、過去6カ月間、北朝鮮が国際的なテロ支援活動をしなかったことに加え、北朝鮮がテロ支援活動を行わないと確約したことが盛り込まれなければならない。
韓国政府関係者は「現在の状況では、ブッシュ政権が16日までに報告書を提出しない可能性もあるが、米国にテロ支援国指定解除の意思があれば、期限自体は大きな問題にならない」との見方を示した。
一方、もう一つの要素として、日本の福田康夫首相が訪米し、16日にブッシュ大統領と首脳会談を行うことが挙げられる。日本は米国が年内の北朝鮮のテロ支援国指定解除を検討していることに反対の立場だ。
日本メディアの報道によれば、福田首相はブッシュ大統領に対し、「日本人拉致問題の解決なしで、北朝鮮のテロ支援国指定を解除すれば、日米関係に悪影響を及ぼす」とのメッセージを伝える構えだ。米国が日本の立場をどれほど受け入れるかによっても、テロ支援国指定解除の時期も違ってくる。
さらに、北朝鮮が今週にも提出する核開発プログラムに関する申告書の草案もカギだ。韓国政府高官は12日、「北朝鮮がどれだけ誠実に核開発プログラムを申告するか、特にプルトニウムの総量とウラン濃縮プログラムについて納得できる説明が得られるかが注目される」と指摘した。
米国は今月初め、北京で開かれた米朝交渉で、ウラン濃縮プログラムについて、北朝鮮に証拠に基づく明確な説明を求めたとされる。これに対し、北朝鮮は前向きな姿勢で応じ、米専門家が北朝鮮国内のウラン関連施設や関連文書にアクセスすることを認める立場を示したという。(朝鮮日報)
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