1217 本腰を入れた疑惑解明を 古沢襄

国会で政・官・財の癒着構造を追及するのは結構なことだが、政治的な思惑が加わると本筋から外れてしまう。国民が一番知りたいのは防衛利権をめぐる贈収賄の解明である。防衛庁の天皇といわれた守屋前防衛事務次官を国会で証人喚問し、山田洋行の元専務だった宮崎容疑者との度重なる接待ゴルフを追及したまでは、まさに本筋の解明であった。
しかし守屋氏は宮崎容疑者との個人的な交友だったとして、特定の利益を山田洋行に与えていないと逃げられた。この証言を覆し、本丸に斬り込む第二、第三の矢は放たれていない。インド洋における自衛艦の給油は、どこから購入したものであろうか。山田洋行が介在したことはなかったか?この点も守屋氏に質すべきでなかったか。
代わって出てきたのは、額賀財務相が宮崎容疑者から接待を受けていたのではないか?官房副長官時代に山形の業者を応札に加える口ききをしたのではないか?という疑惑を取り上げている。この方が福田政権を揺さぶる材料になると思惑が透けてみえる。
肝心の防衛庁のトップだった守屋前防衛事務次官と山田洋行、日本ミライズとの癒着疑惑は、どこかにいってしまっている。国会議員には捜査権がないから、あきらめてしまったのであろうか。疝気筋で騒ぎ立てている観がある。本筋の疑惑解明は東京地検特捜部にお任せということだろうか。
宮崎容疑者は拘置されているが、出張訊問する権利は国会議員にもある。カギは宮崎容疑者が握っているから、それをすべきではないか。防衛利権をめぐる疑惑は山田洋行、日本ミライズだけなのか。その点の斬り込みもみられない。
防衛予算は軍事機密があるから、これまで聖域化されてきた。しかし、国民の税金でまかなわれいる。闇のままで放置するのは許されない。政・官・財の癒着構造があるとすれば、解明の手だてを尽くす必要がある。その気迫が感じられないのは何故だろうか。

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