1218 この蛮勇は誰も真似が出来ない 宮崎正弘

中国、アフガニスタンへ未曾有の30億ドルを投資し銅山開発へ
国際入札の予想額は20億ドルだった。ほかに米国、ロシア、カナダの鉱山企業が応札した。結果は入札価格の50%増、30億ドルで中国国有の「中国冶金集団」が、江西銅業、吉林鉱業とともに入札を抑えた。
場所は爆弾テロをしかけてくるタリバンやアルカィーダ残党のため、戦火やまず、治安の悪い(というより世界最悪のひとつ)アフガニスタン。首都カブールに近いアイナク銅山である。
しかし、「埋蔵量を金額で換算すると、今日の銅価格を基準に300億ドルの銅埋蔵があるという」(『フィナンシャル・タイムズ』、11月20日付け)。
中国はカネと利権があると聞けば危険を顧みない。ウィンウィン(WIN WIN)戦略で突っ走る。
アフガニスタン政府は大歓迎で、今後、毎年四億ドルを開発費にあて、このプロジェクトだけで最低一万人の雇用があると見込んでいる。なぜなら現場は道路も通じていない山奥、発電所もない。
つまり、中国は道路敷設してから、まずは石炭鉱脈をさがし、その石炭による火力発電所を建設し、それから銅山の開発に着手する。稼働するまでに数年のスパンで開発を見込んでいることが分かる。
採算を度外視した政治的な思惑が強く感じられ、常識を越えた、高額の入札結果に西側の関係者は首を捻る。
中国冶金集団は、これまでにもブラジル、パキスタンなどどの銅山開発の実績があるが、世界プロジェクトは合計しても10億ドルにも満たないからである。
鉱山関係ならずとも、アフガニスタンに「中国人」の駐在が激増する論理的根拠は、これで築かれた。アフガニスタンの東北部からタジキスタンの南を経て中国へ至る「アフガン回廊」があることをお忘れなく。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)

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