国会はどうやら泥試合の場と化した。この体たらくでは与野党ともに国民から厳しい批判を受けるだろう。”悪貨は良貨を駆逐する”という。良識の府であった参院は、いまでは政党エゴを丸出しにした権力闘争の修羅場になろうとしている。良識はどこかに駆逐されてしまった。
こうなったらトコトンまで争うがいい。問責決議案もドシドシ出すがいい。江田参院議長がどう裁くか見物となった。問責決議は法的な拘束力を持たないから、与党は無視するであろう。逆に衆院で信任決議を多数の力で可決するかもしれない。まさしく泥試合の国会と化する。
宴会に出たとか、出ないという問題は、国会議員が目の色を変えて争う問題なのであろうか。このところ、それ一色で国会議員は右往左往している。もっと真剣に議論する問題が山積している筈だ。
国民が知りたいのは額賀財務相が宴席に出たとか、出ないという問題ではない。多額の血税を使う防衛費が、一部の防衛省幹部と癒着した防衛専門商社の馴れ合いで浪費されたか否かである。
東京地検特捜部の贈収賄疑惑捜査は、贈収賄の時効の壁で阻まれているから、国会の議論は贈収賄の時効の壁を越えた部分を国民の前に明らかにする必要がある。防衛庁は軍事機密の名の下に秘匿する範囲が恣意的に拡大されてきた疑いが濃厚である。
その構造が守屋前防衛次官の非常識なゴルフ接待を生んだ。守屋前次官が登場する前には田村秀昭航空自衛隊幹部学校長(後に自民党→民主党→国民新党参議院議員)が、山田洋行元専務だった宮崎容疑者からテニス旅行のホテル宿泊費を度重なって接待されていた。
田村氏は防大一期生で空幕装備部長を歴任し、平成元年から参議院議員を三期務め、今年七月の参議院選に出馬せず引退した。山田洋行と田村氏の癒着関係は深い霧の中にある。時効にかからない範囲は特捜部の捜査に任せて、時効の部分はこれを機会に国会で究明すべきではないか。
それをやることによって防衛省の利権に群がる防衛産業に掣肘を加えることができる。それをせずに宴会に出たとか、出ないという疝気筋で大騒ぎする国会は、国民の期待とはほど遠いところにある。
衆院で圧倒的多数を占める自民党は、手傷を負うことを覚悟して時効にかかった数々の疑惑にメスを入れる機会がきたと思うべきである。泥試合の防戦に追われるのではなくて、肉を斬らせて骨を絶つ覚悟が必要ではないか。国民が、そのいずれを支持するかは自明の理ではないか。
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