東京地検に妻とともに出頭する守屋武昌前防衛事務次官の姿には、”防衛庁の天皇”と称された権勢のかけらもうかがえなかったという。その一方で国会では参院の民主党議員がウロウロする姿が目立ったという。
贈収賄事件は、刑法198条に規定されている贈賄罪と刑法197条~197条の4に規定されている収賄罪から成り立っている。一般的にいうと収賄を立証する事は困難なことから、贈賄側有罪(事実を認める為)、収賄側無罪(賄賂性を頑強に否認、証拠も不十分の為)となるケースがよくある。
贈賄側の防衛専門商社「山田洋行」元専務・宮崎元伸容疑者は、当初は業務上横領容疑などで逮捕されたが、守屋容疑者が逮捕されたので、贈賄罪容疑が付け加えられる。これが本筋の罪であろう。守屋容疑者の出頭・逮捕まで時間がかかったのは、それだけ収賄罪容疑を固めるのに東京地検特捜部が慎重な捜査を重ねた証といえる。守屋容疑者はすでに東京拘置所に収監されている。
衆参両院の証人喚問で守屋容疑者は、ゴルフ接待の事実は認めたが、山田洋行、日本ミライズに特別の便宜供与を行ったことを否定している。収賄罪容疑がかけれたことによって、議院証言法に基づく偽証罪も加わる。
民主党の山岡国対委員長は守屋証言は、議院証言法に基づく偽証罪を意識しているから正しいと額賀財務相を責め立ていたが、その論拠が早くも崩れた。こんなに早く守屋逮捕がくるとは予想していなかったのだろう。民主党議員がウロウロする筈である。
「せめて来月三日の参院証人喚問まで逮捕を待ってほしかった」という恨み節も聞こえてくる。だが収賄罪容疑を立件する難しさがある。証拠隠滅をさせないために守屋逮捕に一気に踏み切った特捜部の決断を理解していない。
守屋容疑者側の弁護人は接待ゴルフの一回当たりの金額が少ないから収賄罪に当たらないと法廷で主張するであろう。検察側は300回を越す接待ゴルフのほか現金を受け取った裏付けから収賄罪の構成要件を満たしているとしている。いずれにしても最高裁まで争う十年裁判になる可能性がある。
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