1293 秋山証言から出る”駒” 古沢襄

今や政界のご意見番として歯に衣を着せない物言いをしている三宅久之氏が民主党の鳩山幹事長に二つのことを言っていた。
一つは評判が悪い小沢訪中だったが、以前から決まっていたことだから仕方ないととしても、会期延長で重大段階にあるのに国会対策の最高責任者である山岡国対委員長がノコノコと北京詣でに加わっている見識の無さである。
私もこのことを再三再四、指摘している。鳩山氏の弁解は、山岡氏が訪中団の事務総長だったから外せなかったという。”語るに落ちた”ということだ。同行した菅代表代行は付けたりに過ぎない。影が薄かった筈である。
もう一つは額賀財務相が宴席にいたという守屋容疑者の国会証言がガセネタだと分かったのに、まだこだわりをみせている民主党の見識の無さを三宅氏が指摘したが、鳩山氏は答えることができなかった。
この件のみならず守屋証言には、いくつかの偽証の疑いが出ている。しかし民主党は国会で証人喚問された守屋容疑者が偽証罪を問われる偽証をする筈がないという立場に固執している。どこまでお人好しなのかと言いたくなる。
勘ぐれば守屋容疑者、宮崎容疑者と民主党には共通する何かがあると疑いたくなる。この点を早くから指摘しているのは、日米平和・文化交流協会の秋山直紀専務理事。
防衛利権をめぐる疑惑は自民党の金丸副総裁時代からある。金丸氏が佐川急便事件で失脚後、小沢氏がそれを引き継いだのは周知の事実。秋山氏は防衛庁OBの田村前参院議員の政界進出に当たり、頼まれて田村氏を金丸、小沢両氏に引き合わせた当事者である。
田村氏の立候補に当たっては、宮崎容疑者が山田洋行の隠し金二億円を用立てた疑惑も指摘されている。いずれも時効の疑惑だが秋山氏は、この間の事情に一番詳しい証言者である。東京地検特捜部もこの事情は、すでに把握している。
さらには日米平和・文化交流協会の理事だった宮崎容疑者が、昨年、再任を妨げられたのは専務理事の秋山氏の判断に負うところがあった。宮崎容疑者は昨年、「日本ミライズ」という新会社を設立しているが、資金難から北朝鮮系のノンバンクから借り入れをしている。これを掴んだ秋山氏が宮崎容疑者の排除に動いている。
宮崎容疑者が秋山氏や秋山氏と親しい久間元防衛相を敵視している背景は、これである。また宮崎容疑者と一体の関係がある守屋容疑者が、偽証の危険をおかして久間氏や額賀氏に疑惑の目を向けさせようとした背景も、これに外ならない。
額賀財務相の国会喚問が不発に終わった民主党は、一転して久間久間元防衛相に焦点を合わせている。これも宴席をともにしたか、どうかである。額賀喚問が失敗したので、久間氏と親しい日米平和・文化交流協会の秋山直紀専務理事を参院外交防衛委員会の参考人として招致するという。
自民党は参考人なら異議はない。与野党の筆頭理事間で合意し、20日の参院外交防衛委員会に出席を求めるという。
民主党は単純に秋山氏から久間氏が宮崎容疑者と宴席をともにしたかを、問いただす作戦のようだが、自民党は秋山氏から小沢氏が今もって握っているといわれる防衛利権の構造をあぶり出そうとしている。
秋山氏の参考人招致は自民、民主両党が呉越同舟のあぶり出し作戦となりそうである。東京地検特捜部は、すでに情報収集が終わっているので静観の構え。来週にも守屋容疑者を再逮捕、宮崎容疑者を再々逮捕して起訴への最終段階を迎えた。政界ルートは瓢箪から思わぬ駒が飛び出すかもしれない。
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