1295 広東の繁栄に急ブレーキ 宮崎正弘

広東の繁栄に急ブレーキ、靴工場など数百社以上が倒産。最低賃金労働者をベトナムのみかアフリカ諸国から輸入してみたが。
華南に最初に経済成長と繁栄がやってきたのは、隣接する香港資本の投資だった。ミシン、軽工業がどっと出て、香港の工場街が空洞化した。その成功をみて、東南アジアの華僑が果敢に投資し、ついで台湾資本がどっと広州、東莞、仏山などに入った。
何をつくるか?台湾などで採算割れした雑貨、弱電部品、そしてテニスラケットやスポーツシューズなどである。
ことし一月から二月にかけて筆者は華南の九都市を超特急でまわった。マカオから入国し、珠海、中山、仏山、開平、広州、恵州、深センをめぐり、香港へ出国した。各地の繁栄、その影での工場閉鎖、失業者の群れ。珠海市はともかく、中山市のど真ん中のホテルはガラガラ、むかえにあったホテルは閉鎖していた。
広州市内では、繁華街でビラまきをしている夥しい黒人労働者に驚かされた。一方で金持ち階級の大量出現。かれらは朝食さえつくるのを面倒くさがり、レストランへくるのである。お手伝いさんはフィリピンから。まことに信じられない風景だった。
華南から最初にベトナムやラオスへ逃げ出したのは雑貨、弱電、靴のメーカーで、台湾資本はベトナムに集中した。
つぎに中国のメーカーは、中国奥地、たとえば江西、湖南省から遠く峡西、寧夏、貴州などの奥地へ向かった。急騰する人件費がネックとなったためである。
それまで広州はベトナムからの不法労働者を大量に受け入れ、さらに江西省などからも労働者を「輸入」してきたが、労賃の不払いや斡旋業者のマフィア化などで、昨年旧正月に広東省だけで50万人の労働者不足に見舞われた。その結果、アフリカ諸国からの不法移民を受け入れ、現場労働不足を補ってきた。
中国国営「中央電視台」が、珠海デルタ工業地帯における「不況」の特集を放映した。
この番組では靴メーカーおよそ2000の工場が倒産したという衝撃的なニュースをつたえた。玩具、繊維製品、弱電部品などの工場でも人手不足による操業困難が原因での倒産も増えていると伝えている。
靴メーカーの四分の一はベトナムへ移転を完了、残りも中国からの転出を考慮中である。いよいよ中国でさえ産業の空洞化現象がおこりつつある。
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