1297 取材はきっちりすべき 古沢襄

十八日の朝刊各紙を読むと面白い。各社が防衛利権の疑惑について、どの程度にまで深く掘り下げた取材をしているかが分かる。この日の記事で一歩先んじたのは毎日新聞。朝刊で宮崎容疑者、守屋容疑者、秋山容疑者の三人が十八日に再逮捕されると予告した。
守屋容疑者の妻幸子容疑者は三人の再逮捕に先立ち、処分保留で釈放するとみられるとした。幸子容疑者の取り調べが一段落し、守屋容疑者も容疑事実のかなりの部分を認めているので、処分保留で釈放は既定の路線。
幸子容疑者が処分保留で釈放されれば、各社は彼女の取材に殺到するであろう。東京地検の取り調べ内容が霧の中に包まれているので、その内容が知りたいからである。しかし幸子容疑者が取材に応じる可能性は薄い。下手な言い訳をすれば、再逮捕される三人の容疑がさらに深まるからである。
一方、参院外交防衛委員会に「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀専務理事を参考人として招致する件については、朝日と共同は民主党筋の情報に偏っている。朝日は「関係者によると、秋山氏は出席に現時点で消極的だという。野党側は、秋山氏が出席を拒んだ場合、証人喚問を求める方針だ」とした。
共同も「参考人は招致に応じるかどうかは任意で、秋山氏の対応が焦点」。産経だけが「参院関係者によると秋山氏は20日に関しては出張を理由に出席できないとの意向を伝えているという」と一歩踏み込んだ内容。
参院関係者とは事務当局のことである。朝日も共同もここまでは取材が至っていない。事実関係について秋山氏に直接取材する”詰め”を怠っている。さらには秋山氏が参考人招致を拒否する可能性という思い込みに立っている。参院民主党の見方をそのまま記事にした弱さがある。したがって参考人招致を拒絶すれば、証人喚問というところまで一足飛びにいってしまった。
秋山氏には十七日、参院事務当局から電話で「20日、任意の参考人」としての要請があった。これに対して秋山氏は「喜んで出席するが、かねての予定により18日から渡米するので20日は出席できない」と答えている。
秋山氏や参院事務当局に取材をかければ分かる。26日に秋山氏が帰国すれば、参考人招致に応じることを、はっきり通告している。20日の参院外交防衛委員会に間に合わなければ27日の定例日にすればいい。会期を延長したのだから年末・年始にこだわらずに国会審議をすべきであろう。
<前防衛事務次官、守屋武昌容疑者(63)の汚職事件で、防衛専門商社「山田洋行」側が家族名義の口座に振り込んだ360万円余について、前次官がわいろ性を認めていることが、関係者の話で分かった。提供された資金は、次女の留学先の米国での生活費や長男の借金返済などに充てられたという。東京地検特捜部は18日、前次官を収賄容疑で、山田洋行元専務の宮崎元伸容疑者(69)ら2人を贈賄容疑で再逮捕する方針。
元専務は04~06年、米国子会社の元社長、秋山収被告(70)=業務上横領罪などで起訴=に指示して、360万円余を前次官の妻幸子容疑者(56)や次女の口座に送金した疑いが浮上している。
関係者によると、前次官は調べに対し「有利な取り計らいを期待したものだったと分かっていた」と、わいろ性を認めているという。振り込みの際、自ら元専務に「よろしく頼む」と伝えていたことも判明している。
特捜部は18日、秋山元社長も贈賄容疑で再逮捕する方針。3人の再逮捕に先立ち、前次官と元専務をゴルフ旅行接待を巡る贈収賄罪で起訴し、幸子容疑者については処分保留で釈放するとみられる。(毎日)>
<参院外交防衛委員会は17日の与野党理事懇談会で、前防衛次官汚職事件に関連して東京地検特捜部の家宅捜索を受けた「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀専務理事を20日午前に参考人招致することで合意した。18日の委員会で議決する。参考人は招致に応じるかどうかは任意で、秋山氏の対応が焦点。宮崎容疑者に関しても捜査状況を見極めた上で27日に出張尋問による証人喚問を行う方針で一致した。(共同)>
<参院外交防衛委員会の理事懇談会が17日開かれ、日米軍需産業と政界を結ぶパイプ役とされる社団法人「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀・常勤理事を20日午前、参考人招致することで与野党が合意した。18日の同委員会で正式決定する。ただ、参考人招致には強制力がなく、実現は不透明だ。
協会は防衛省汚職事件に絡み、東京地検特捜部の捜索を受けている。野党側は、協会を実質的に取り仕切る秋山氏と防衛省、防衛族議員との関係をただす考えだが、関係者によると、秋山氏は出席に現時点で消極的だという。野党側は、秋山氏が出席を拒んだ場合、証人喚問を求める方針だ。
一方、理事懇談会では、前防衛事務次官の守屋武昌容疑者への贈賄容疑で再逮捕された軍需専門商社元専務の宮崎元伸容疑者に対し、27日に拘置先で出張尋問を行う方針も確認された。(朝日)>
<参院外交防衛委員会は17日の理事懇談会で、一連の防衛省不祥事に関し社団法人「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀専務理事を20日に参考人招致することを決めた。与野党で合意しており、18日の同委員会で正式に議決する。ただ、参院関係者によると秋山氏は20日に関しては出張を理由に出席できないとの意向を伝えているという。
参考人招致には強制力はなく、本人が拒否すれば実現しないため、民主党側は秋山氏の証人喚問も検討している。
同協会は外務省所管の社団法人で、防衛関係議員らが理事を務める。秋山氏は、与野党防衛関係議員に幅広い人脈を持ち、前防衛事務次官の守屋武昌容疑者は証人喚問で、久間章生元防衛相、防衛商社「山田洋行」元専務、宮崎元伸容疑者との宴席で同席したことを認めている。
理事懇談会では、27日に出張尋問の形で宮崎容疑者の証人喚問を実施することでも一致した。(産経)>
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