産経新聞の福島香織北京特派員が書いた「まさか40年ぶり“国外退去”?」は、女性らしい言葉使いだが、中国における取材活動の難しさを突いている。男なら「この野郎!」と拳を振り上げて、こちらからさっさと北京を退去するところだが、福島さんは優しい言葉使いで中国当局の非を連綿と書いている。それだけに迫ってくるものがある。
中国外交部(外務省)から発行される記者証の更新ができなければ、ビザの更新もできないので、福島さんはビザ切れ、日本に帰国しなければならない。態のいい“国外退去”処分となる。かなり悪どい手口といわねばならぬ。
北京オリンピックを目前にして、およそ時代錯誤なやり方だが、中国の意に染まない外国人特派員の記事を規制する公安特務的なやり口。福島さん個人の問題にしてはならない。反響が大きければ、渋々記者証の更新を期限切れ直前に下ろす可能性がある。
だが、それによって福島さんの筆が鈍ることになっては、相手の思う壺になりかねい。産経新聞の幹部ではないが、福島さんが事実上の北京退去処分になって、日本のマスコミが騒ぎ立てる方が影響が大きい。
どちらにせよ中国外交部は、とんだ本性を露呈してしまった。報道の自由など、はなからないお国柄だから、いずれはこの種の事件が起こることは予想されていた。伊藤正氏の北京情報は、かなりスレスレの中国批判が基調となっている。私などは伊藤氏が北京追放にならないか、不安視しながら愛読してきた。
それが福島さんの記者証更新がなかなか下りない騒ぎになったから、むしろ虚を突かれた感じすら持つ。これが在北京の外国人特派員にどういう影響を与えるのか、かなり気になる。この一件は日本のマスコミがもっと大きく取り上げて中国の変化を促すべきではないか。媚中の姿勢では中国を変えることはできない。
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1303 福島さん個人の問題にしてはならない 古沢襄

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