日本では支持率が低下傾向をみせる福田首相だが中国では大もて。新聞でも一面トップで紹介されている。反日デモで日本大使館が投石された騒動は、そう遠い話ではない。反日の国民感情が一夜で変わったとは思えない。
<【北京29日共同】29日の中国紙は、日中首脳会談について「中日両国が東シナ海問題で共通認識」(北京青年報)「福田首相が台湾の住民投票不支持」(新京報)などと面トップで大きく伝えた。新京報は、福田首相の貴代子夫人が日中漫画展を訪問した際の写真を1面で掲載。また福田首相が「歴史問題で示した誠実さは注目に値する」とした専門家の談話を紹介し、首相に好意的な姿勢を示した。>
胡錦濤国家主席を頂点とする中国首脳は、積極的に日中の「新蜜月時代」を演出しようとしている。中国にとっては親中派の福田首相の在任中に両国関係をさらに緊密化する必要がある。来春の胡錦濤国家主席の訪日も、その戦略地図の上にある。
日本はどうか?江沢民時代の反日プロパガンダでさんざん嫌な思いをしてきた。世論調査でも親米傾向が減っているものの、やはり親中国傾向よりも上回る。親中国傾向を”媚中”と批判する空気が残っている。
しかし、その政治状況が微妙に変化している。それは小泉・ブッシュ蜜月時代が終わりを告げたことと関係がある。昨年秋以降、米国の北朝鮮政策が劇的に変化した。拉致問題の解決が北朝鮮政策の最大課題とする日本の頭越し米外交となった。
その一方で日米の軍事同盟は微動だにしていない。外交面で隙間風がみえるということであろう。この間隙を中国が見逃す筈がない。福田訪米も見ようによっては、日本にとって満足できるものではなかった。
中国にとって避けたいのは米国、日本、オーストラリアにインドを含めた包囲網であろう。その一角だったオーストラリアは親米一辺倒から中国との関係強化に変化している。日本との「新蜜月時代」が構築できれば包囲網は意味をなさない。
中国側の「新蜜月時代」地図は現実的な外交見地から生まれている。それは日本にとっても悪い話ではない。いつまでも付いていきます下駄の雪のような、対米従属外交から脱却する時期にきている。ただ日中関係は理念や理想論の世界ではない。極めて現実的な選択肢の世界だという認識を持って当たる必要がある。
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1332 中国では大もての福田首相 古沢襄

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