1335 ”無視界飛行”に備える改造人事か? 古沢襄

ここにきて一月内閣改造論が出ている。震源地は森喜朗元首相で、古賀誠選挙対策委員長、青木幹雄前参院議員会長、町村信孝官房長官らと意見を交換している。中国訪問中の福田康夫首相は「正月が過ぎて、来年の日程などをよく考えた上で考えたい」と否定も肯定もしていない。
安倍内閣の初人事はお粗末を絵に描いたものであった。自民党が参院選で大敗した原因はお粗末閣僚が次々に惹起したミステークの連鎖だったといえる。その反省もあって改造した今の閣僚の顔ぶれは比較的手堅く合格点ではないか。
だが、この顔ぶれのほとんどが安倍前内閣の受け継いだ「居抜き」人事だから、福田内閣らしい本格人事を行って激突が予想される通常国会に備えるというのが森構想。改造に積極的な森氏は「(今の内閣の顔ぶれは)安倍前首相がつくった内閣だから、福田首相はやってもらいたい人にポストに就いてもらった方がいい。(通常国会召集までに改造することが)本当はあるべき姿だ」という。
たしかに現閣僚の中には通常国会の前に変えておいた方がいいという人物がいないわけではない。しかし大きなポカをしているわけではないから、ここで大幅改造をして人事を入れ替えるのはリスクを伴う。人事で本格的な「福田カラー」を打ち出したい思惑が逆目にでることだってあり得る。
何事も慎重居士の福田首相のことだから、あえてリスクをおかす気になるかどうか。兄貴分の森氏の言うことだからと言って、「ハイ、それでいきましょう」とはいくまい。無事に洞爺湖サミットを仕切ったうえで内閣改造をして総選挙に備えるという常識的な選択肢も頭をよぎっているのではないか。
しかし、これから迎える通常国会は戦後初めてといってよいほど先が見通せない”無視界飛行”になる。おまけに年金問題や薬害肝炎問題の対応の遅れから内閣の求心力が急落している。熱烈歓迎を受けた中国訪問は成功裡に終わったが、福田内閣の支持率が急上昇に転じるとは思えない。
むしろ穏健派の福田カラーとは異なる強行突破の連続技で通常国会を乗り切ることを迫られるであろう。平常時なら現体制で洞爺湖サミットまでいきたいのだろうが、戦時態勢に入るのだから先のことは考えずに万全の布陣でいこうというという決断に至るのでないか。あえて改造のリスクをおかす気がする。
その腹が決まれば一気呵成に改造の人事構想を固めて、一月中旬に内閣改造に踏み切るのではないか。それは福田カラーをだすというような悠長なものではない。通常国会を強行突破の連続技で乗り切る”戦時態勢”内閣の布陣になるのではないか。
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