新保守主義の色濃い安倍前首相が挫折したことによって、自民党内にある振り子の原理が作動し、リベラル色の福田政権が生まれた。当面は生活が第一の民主党と内政重視型の政策競争になる。民主党にとっては安倍前政権よりもやりにくい相手となった。
しかし自民党にとっては”癒し系”の福田首相を担いでの総選挙は心許ない。タカ派であってもメリハリのきいた大衆政治家の方が票をとれると捕らぬタヌキの皮算用。麻生太郎氏や小池百合子氏の名前がチラホラしている。
こんな状況下で自民党の古賀派と谷垣派が今春に合流総会を開くことが決まった。旧宏池会の再結集である。5月13日に政治資金パーティーを開くことを決めたから、今度は本物であろう。
新古賀派が誕生すれば、町村派(84人)、津島派(68人)に続く61人の第3派閥になる。古賀氏は「同じ理念を持ったもの同士が離れているのは不自然。福田政権を支える礎になりたい」と強調。ナンバー2の代表世話人・谷垣氏は「『生活重視、地方重視』などの宏池会結成の理念に基づき、福田政権、保守政治を支えていきたい」。ハトの大合唱である。
古賀派の中には同じ派閥だった麻生派を含む「大・宏池会」の声があった。だが福田政権に対するスタンスの違いもあって、古賀派と谷垣派の「中・宏池会」で落ち着いた。大多数が谷垣禎一政調会長を次の総裁候補と考えているようだが、菅義偉前総務相の様に麻生支持を明言する議員もいる。古賀氏と麻生氏の不仲説もあるから、「中・宏池会」が「大・宏池会」になる道は険しい。
町村派、津島派、新古賀派が一致して麻生氏を次の総裁候補とし、新首相の下で総選挙を戦うことになれば別だが、今度の「中・宏池会」が出来るいきさつをみれば、かなり難しい。
福田首相が政権を投げ出す事態を迎えれば、町村派は町村官房長官を総裁候補に立てるかもしれない。津島派は額賀財務相では心許ないので、石破防衛相の奇手が出るかもしれぬ。新古賀派の大勢は谷垣政調会長。
新古賀派の狙いはトコトンまで福田政権に協力して、町村派の支持を得ることにある。おまけに福田首相と谷垣政調会長は仲がいい。福田・谷垣の距離は、福田・麻生よりも遙かに近い。
ハト派政権からハトにバトンタッチするのか、少しタカ色の麻生政権になるのか、年内にはその舞台の幕が開く気がする。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(1月12日現在1393本)
1392 タカからハトへ(2) 古沢襄

コメント