1412 「年内解散」が吹き飛ぶ可能性(2) 花岡信昭

一方で、遊説造反組で復党していない平沼赳夫氏を軸とする新党結成、中川昭一氏らの保守派糾合の動きなどが浮上している。自民党の古賀誠選挙対策委員長は平沼氏とともに堂々と郵政造反・落選組のパーティーに出席するという動きも見せた。古賀氏は来年9月の任期満了まで総選挙はないと繰り返し言明している。百戦錬磨の古賀氏ならではの揺さぶり戦法である。
自民党サイドではそうした「政局激動を予期させる動き」が続いているというのに、民主党側は政局の主導権を握れないままだ。依然として「風任せ、敵失頼み」の体質に変化はない。
衆院解散の時期として伝えられているのは、4月と7月である。予算関連法案の成立と引き換えの「話し合い解散」が喧伝されている。3月末には「最後の1人まで照合させる」といったんは公約した「年金5000万件」処理の期限を迎える。民主党はこの問題で追い込んでおいて、予算関連法案の扱いをめぐり優位に立つという作戦だ。7月というのは洞爺湖サミットの終了後という意味で、「話し合い解散」なら時期の設定も可能になるという読みに基づくらしい。
予算案本体は衆院で可決すれば30日で自然成立する。予算関連法案は参院の可決も必要で、3月末に暫定税率の期限切れを迎える揮発油(ガソリン)税など租税特別措置の扱いが厄介だ。成立が遅れると、暫定税率を適用できないため、ガソリンの値段が一時的に下がる。2兆円を超える税収不足も生ずる。
そのため、参院送付後60日たっても結論が出ない場合は否決とみなすという再議決規定を適用することになると見られているが、1月末までに衆院を通過させておけば、新年度に間に合うという荒業も検討されている。
民主党はこの問題の再議決をめぐって、今度こそ首相問責決議を参院で可決させるなど、一大政局をつくり出そうということらしい。ガソリンの値下げと「生活重視」路線を結びつけようというわけだが、いずれ関連法案が成立すれば元の値段に戻るのだから、国民はどう判断するか。むしろ、混乱を招くだけに終わらないか。
新テロ特措法で再議決規定を適用できたのは、免疫効果という点からしても自公与党に大きな「自信」を与えた。これが、衆院で再議決が可能な条件である3分の2の勢力の維持を最優先させるべきだという判断につながっている。小泉政権下の「郵政解散・総選挙」で得た3分の2の再現はだれが見ても無理だ。たとえ総選挙で与党過半数を達成したとしても、「衆参ねじれ」は解消しない。であるばかりか、再議決を不可能にしてしまうのである。
そう見てくると、年内解散がなくなる可能性もなしとしない。むしろ、政局が混乱していけば、大連立の再燃か、あるいは民主党の保守系議員が呼応する「中連立」が飛び出すことも視野に入れておく必要がありそうだ。
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