1413 「政治の世界には抵抗感がある」 古沢襄

安倍内閣の置土産人事だが増田寛也総務相は地味ながら出色の人材だと思う。私と同じ東京都立戸山高校のOBで地方行財政に精通している。父親の増田盛氏も農林官僚として名を馳せた。
増田総務相は建設省から茨城県庁に出向していた時期がある。現在のつくばエクスプレス建設計画の担当課長として汗を流した経験の持ち主。つくばエクスプレスは東京・秋葉原駅と茨城県・つくば駅を結ぶ首都圏新都市鉄道路線だが、2005年6月開業以来、当初予想を上回る利用客で賑わいをみせている。
第三セクター鉄道としては好調な滑り出しを見せており初年度の乗客数は3469万人。一日平均の乗客数も開業前予想の135000人を超える150700人。2006年5月の一日平均乗降客数は192400人に達した。
守谷市の住人である私は数年前ことだが、盛岡市の知事公舎で増田知事と二時間ほど歓談したことがある。戸山高校OB、つくばエクスプレスという共通の話題があっただけでなく、お互いの父親が岩手県人で、その父親を誇りに思う点でも一致している。
二〇歳年上ということもあって「参院選挙に出ないか」と水を向けたのだが「議員になった父親をみているので、政治の世界には抵抗感がある」と増田知事は正直に語っていた。農林官僚から参院議員になった増田盛氏は、たしかに官僚時代の輝きが失せている。
建設官僚だった増田氏を岩手県知事に担ぎだしたのは小沢一郎氏。知事になった増田氏は自民党と自由党の抗争に巻き込まれ、それも「政治の世界には抵抗感がある」一因となったのであろう。
知事時代には元宮城県知事の浅野史郎氏や元三重県知事の北川正恭氏などと並び、改革派知事の代表格ともいわれた。21世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)の副代表にもなった。考え方は竹中平蔵氏に近い。地方分権に極めて積極的で、道州制導入に積極的な態度を示している。
その増田総務相が民主党のガソリン国会に待ったをかけている。道路特定財源の暫定税率が三月に廃止された場合、地方分として減収になる9064億円の都道府県別(市町村分も含む)の内訳は総務省の試算によると、最高額は北海道の578億円、最低額は鳥取県の52億円。財政規模が小さい自治体ほど、影響が大きくなる傾向にある。
詳しくは北海道(道分390億円、市町村分188億円)に次いで減収幅が大きいのは愛知の563億円(県分385億円、市町村分178億円)で、東京505億円、埼玉415億円、大阪393億円などが続く。
「政治の世界には抵抗感がある」と洩らした増田氏だったが、否応なしに政争に巻き込まれているのも何かの因縁ではないか。
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