1425 ジョージ・ソロスの衝撃的講演 宮崎正弘

ドル基軸による信用拡大時代が終わりつつある。ジョージ・ソロスがダボス会議で衝撃的な講演。
ダボスに「だぼはぜ」のごとく、福田首相も押しかけ、なんでまた、スイスの山奥で東京都のイベントを主催するため石原知事代理で猪瀬直樹副知事まで出かけちゃう。ダボスは国際会議場としてより、本当はスキー・リゾートなんですが。。。
メインの講演はすでに開幕日にジョージ・ソロスが引き受けた。
三年前にサブプライム問題の存在を指摘して米国経済の先行きに暗雲の存在を示唆したのもソロスだが、「やつの慈善事業は偽善だ」とか「麻薬取引に関係ある」とかの痛烈な批判が一方にある。
旧社会主義諸国に自由と民主のための財団を寄付し、ソビエト社会主義の崩壊を側面から助長したソロスは、ポーランドの「連帯」運動、チェコの「憲章77グループ」やグルジアの「薔薇革命」の後ろ盾でもあり、旧共産主義陣営からは激しく攻撃されるのも、当然だろう。
 
またソロスはハンガリー生まれのユダヤ人だが、最近のイスラエル批判が猛烈なためシオニスト系のユダヤ人からも批判が絶えない、という曰く付きの問題人物。
04年のブッシュ大統領再選阻止キャンペーンでは巨額を投じて民主党よりの政治行動を取った。
ソロスの世界史的登場は93年からのポンド通貨、ドイツマルク通貨への空売りと、その大胆な賭けの不抜の勝利だった。
そして97年アジア通貨危機の陰の演出家とも言われ、助手だったジム・ロジャーズは、その後、ソロスの元を離れて独立し、近年は中国へのめり込みが激しい。
さて、ダボス会議でソロスは「過去十数年、米国は世界経済の牽引車でもあったが、いまや傷ついた巨獣となった。つまり米ドル中軸だった世界経済体制は終わりの時代へ入った」と主張した。
サブプライム問題がすべてではなく、過去六十年続いたドル基軸にもとづく信用拡大が、終わるのだ、と力説。会場では世界のバンカー、エコノミスト、財務大臣らが出席して侃々諤々の論争となった。
インド財務相は「中国との交易が拡大しておりアジア地域の経済は米国の影響は微少」という。
ノーベル経済学者のスティグリッツも会場で「FEDの利下げはタイミングが誤謬」という。
米国からはジョン・スノー前財務長官が「悲観的すぎる。たとえ米国がリセッションに入ったとしても、短期に回復するだろう」と楽観論を代弁したが影が薄かった。
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