1439 豪雪と吹雪で麻痺状態の中国 宮崎正弘

豪雪と吹雪の天然災害で経済が麻痺状態に陥った中国。石炭輸送インフラの寸断が停電を招くという意外なアキレス腱。
中国を襲っている猛吹雪と寒波、大雪。半世紀ぶりの大雪である。
未曾有の事態が報道されているが、温家宝首相は湖南省の長砂へ飛んで、鉄道駅に二十五時間以上も滞留を余儀なくされた数千の旅客へ向かってラウドスピーカーで「冷静に」と呼びかけた。異常事態である。
正確にいうと温首相は湖北省まで飛んで、夜汽車に揺られ長砂駅へ向かった。ヘラルドトリビューン紙(1月30日付け)は一面トップカラー写真で、このニュースを配している。
第一に長砂の大雪は1954年以来、じつに54年ぶり。各地の道路は寸断され、一帯は石炭の火力発電が主なので、送電線被害により電気が遅れず、さらに発電量は通常の一割に落ち込んでいる。
第二に、大雪は華南一帯に及び、道路が凍結してスリップ事故が多発している。広州郊外では大型バスが35メートル下の渓谷へ落下し、25名が死亡。全土でも過去三日間ですでに50名以上が雪害で死亡している。
第三は上海空港など国際線の延着やフライトキャンセルが全土で発生している。悪天候はあと一週間は続く模様で、北京中央は緊急の対策会議を開いている。
 
とくに発電不能に陥った地域へ、電力をおくるシステムがないこと。石炭を輸送する交通インフラが遮断されており、一部地域の停電は生産活動を直撃する。現在までの経済的被害は、30億ドルと見積もられている。
昨年は中国各地で異様な洪水、台風被害が報告されている。寒波、干ばつ、黄砂、熱波、河川の枯渇、そして大雪。北京五輪、本当に大丈夫か?
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