1442 民主党体質に対する誤解 古沢襄

政権交代を目指す民主党だが、その体質に世間の誤解がある。
その第一は旧社会党系という左派集団が抵抗路線に固執しているという見方。旧社会党は左派による抵抗路線で破綻した歴史を持つが、民主党にいる旧社会党集団は、元はといえば左派社会党と対決した構造改革・右派路線の集団である。
抵抗闘争の一本槍で自滅した左派集団と徹底的に対立した歴史がある。旧民社党の様に最初から保守との妥協路線を探る集団ではないが、一定のところで妥協の道を探る現実主義を身上としている。迂回してでも社会主義的な政策を達成するイタリア共産党のトリアッチ理論の洗礼を受けている。
日本共産党がイタリア直伝の構造改革論を排撃し、多くの構造改革論者が脱党して旧社会党に流れた歴史があるから、ギリギリの線までくると左派社会党だけでなく共産党とも相容れない体質を引きずっている。
もう一つは市民運動路線の菅直人氏は民主党内では多数派ではないということである。民主党の代表選挙で小沢氏と争った菅氏は敗れている。多くの旧社会党集団が、菅氏を支持せずに小沢支持に回った。民主党の保守派が、菅氏と一線を画しているのは言うまでもない。
今回の衆参両院議長によるあっせんに対して最後まで反対したのは小沢氏ではなくて、菅氏であった。あっせんを呑む鳩山幹事長の提案に対して、菅氏は与党に「つなぎ法案」を強行させて徹底抗戦する戦術を唱えている。小沢代表は鳩山提案に乗った。
小沢・菅・鳩山のトロイカ路線というが、ギリギリのところにくると立場の違いがでてくる。一皮むけばトロイカ路線も寄せ集め世帯のもろさがある。参院議長の江田五月氏は構造改革論のシンボルだった江田三郎氏の息子。徹底抗戦の左派社会党路線とは相容れない。むしろリベラル左派の河野衆院議長に近い信条の持ち主といえる。
さて年度末の国会で民主党系の人間模様が、どう反映されるのであろうか。寄り合い世帯だけに予測できない面があるのだが・・・。
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コメント

  1. あもーれ より:

    はじめまして
    菅氏や民主党の政策の源流をイタリア共産党の『構造改革』路線に求める主張の載っているブログはたくさんありますね。驚きました。日本ではイタリアといえばアモーレマンジャーレ、スーパーカー、ワインにオペラ、で共産党のことはあまり知られていないと思っていたのですが・・・
    しかしネットで調べてみたら特に労働法や家族法研究の分野でイタリアの例を学ぶべきものとして紹介する論文がかなり出てきます。戦後イタリアはファシズムを自力で打倒した『誇り高きパルチザンの国』として左翼勢力のひとつのモデルとなっていきましたが、そのイタリア共産党が解散した後でそれを信奉する勢力が日本で政権を握ったということを理解するのはかなりのイタリア通ですね。スーパーカー消しゴムをペンの頭で弾き飛ばして遊んだ世代ですか?

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