1513 FBIが中国のスパイ四人を逮捕 宮崎正弘

台湾籍中国人スパイの摘発に米台関係を損なう恐れと台湾が大揺れ。
ニューオーリンズに二十年を過ごした郭台生が中国のスパイとして逮捕された。郭台生は台湾生まれだった。
FBIが、ほかの三人の中国人をふくめ、米国から軍事機密を盗み出して北京に送っていた男らをスパイ容疑で逮捕したのだが、この事件を「間諜案件」として台湾のマスコミは連日大きく伝えている。
「郭はニューオーリンズのレストランやゴルフ場を舞台に軍事関係者を買収するなどして機密を入手していた」(多維網、2月15日付け)。
ペンタゴンの従業員で中国スパイへの協力者はグレッグ・バーガーセンという男で、ほかに台湾へ供与する最新鋭武器の機密も渡した。
事件はFBIの内偵によりルイジアナ州から発信された暗号電話が、IMBに関する機密軍事情報を大量に含んでいた(07年9月2日発覚)。
これは「共同行動管理委員会」(IMB=Inter―opearatibity Management Board)のマニュアルと言われる。つまり台湾と米軍の共同作戦のシナリオの中枢をなすもの。
「米中台の三角関係の微妙な時期にネットなどを通じての暗号通信で、ますます機密漏洩作戦には高度なテクニックを駆使されるようになった」(フィナンシャルタイムズ、2月12日付け)。
衝撃を受けたのは台湾軍部である。
「郭は武器商人として商業ベースで台湾軍に出入りしていた。我々とは顔見知りである。
逆に郭は台湾からも軍事機密を盗み出している疑いがあり、特別捜査チームを設立した」と軍スポークスマン。
台湾参謀次長の劉渓烈は、「米軍にもっと詳しい説明を要求している」と記者会見している(多維網、2月15日付け)。
▲台湾籍と言っても中華統一で北京と共通認識の輩がスパイになりやすい
このスパイ事件で注目すべき二つのポイントがある。
第一に中国は在米台湾籍の中国人を猛烈にリクルートしていること。それは台湾籍と言っても、蒋介石と台湾へ逃げ込んだ外省人の末裔らが主体で、中華思想による中国統一というメンタリティが北京と共通している。
したがってスパイ確保が容易である。
第二に中国が、米国の米台基本法に基づく台湾防衛の機密情報を、電子情報からではなくヒューミント(人間関係を基礎とする間諜)と通じて、ペンタゴンから盗み出すことに、軍事技術盗取と同様なほどに力を入れていることである。
この事件は氷山の一角に過ぎず、これからまだまだ台湾籍中国人のスパイ活動が米国において暴露されるだろう。
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