激増する中国とロシアの貿易、昨年は44・7%もの急増。問題はロシア側から石油と原木、中国から機械、工業製品という不均衡の中身だ。
中国がロシアから輸入している石油は年間1500万トンと推計されてきた。主として鉄道輸送、一部はモンゴルを経由する。
シベリアの原木も主な輸入品目のひとつで、ロシアとの国境へ行くと、原木加工工場、家具工場が林立している。
シベリアの広大な森林資源開発の一部の権利を、プーチン政権は中国企業に売り渡し、多くの中国人労働者が、このルートからロシアへ移住した。
さて、中ロ貿易だが、昨年は往復481億ドルで、前年比44・7%ものアップを記録した。
ちなみに2006年度は前年比15%増加、05年は前年比37%増加。
問題の一つは貿易不均衡の中身である。近年は機械を輸出する中国側の黒字に転換したことで、たとえば中国製機械は80%増加の284億ドルを記録している。従来はロシアから武器を輸入していたため一方的なロシアの貿易黒字が記録されてきた。
昨年、ロシア最大の石油企業ロフネフツは対中石油輸出を9%減らしたが、輸送インフラ上の技術的問題で、両国は合弁企業「ボストーク・エネルギー社」を設立(ロシアの「ロフネフツ」が51%、中国の「ペトロチャイナ」が49%)、イルクーツク付近の油田開発を手がける。また2011年には、合弁で天津に精油所を建設する。
プーチン政権は、2010年までに中ソ貿易は往復600億ドルが目標と標榜していたが、これは早めに達成されそうな勢い。
もう一つの衝撃的な問題は、通貨である。
中国とロシアは、これまでの決済をドルから、それぞれルーブルと人民元という「ドルに変わる強い通貨」で貿易結成を行おうとしている。
米ドルが天下だった二つの共産主義全体主義的市場で、それぞれの国家が、自国の通貨への信任を強めていることこそ、西側アナリストの想像をこえる事態の出来(しゅったい)なのである
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1516 中ロ貿易が激増 宮崎正弘

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