中国の一月のインフレ、十一年ぶりに記録更新。中国のインフレが7・1%と深刻度を増す
中国国家統計局の発表では一月の「白害」(大雪被害)により生鮮野菜などが暴騰したことも手伝って、インフレは7・1%と、その深刻度を増した。昨年師走は6・5%だった。
しかし依然として不思議なのは豚肉4倍、キャベツ10倍、ビールが2倍になっているのに、なぜ平均値統計がこうも「低い」のか、という一種の怪談である。下がった物価はと言えば北京の地下鉄料金のみ。
三元、四元のところも、一律二元となって市民は喜んだ。しかしこれは五輪直前の交通整理、市内へのクルマの乗り入りを効果的に排除し、渋滞が減ったという国際アピールのためであろう。
▲中国の穀物増産はかけ声だけではないのか?
小麦は40%値上げになった。日本では即席麺のみならず、小麦を使うパン、うどん、ラーメン、あらゆる食品はこれから値上げになる。
ほかにもトウモロコシ、大豆など主要穀物が高騰している。
世界の食品価格指数は33%もの上昇をしめし、これは1845年以来の最高値だが、主因は燃料エタノール増産ブームと、中国の縛食である。
中国は、これまで穀物、とくにトウモロコシを備蓄してきた。
それほどの余裕があったが、東北部で在庫の穀物を燃料エタノール生産に転用しはじめ、その結果、昨年から在庫が底をついた。
中国の穀物総生産量は04年は4億6946万9千トン、05年は4億8402万2千トン、06年は4億9749万9千トン、07年は5億150万トンで増加しているのは事実だが、需要に追いつけない。
中国当局は備蓄量が年間消費の35%としていて、FAO(国連食料農業機構)の定めた安全ライン(17―18%)を上回っているから懸念は無用と豪語している。
中国の食糧自給率は95%とも言っているが、明らかに輸入国に転落しているのは事実である。
2006年統計で中国は645万トンの穀類を輸出し、360万トンを輸入した。07年1~11月期には、915万トンを輸出し、145万トンを輸入した。
しかも人口が増加しつつ、他方では中国で農地激減と砂漠化、都市生活者の食事が豪華になり洋食志向となった。となれば今後も小麦需要が急増し、さらにビール消費量が世界一となって、大麦も需要が急増中。
穀物不足は明らかであり、大雪によるハイパー・インフレは次に穀物高騰から恒久的なインフレ態勢へと流れ込む可能性が高い。
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1527 中国のインフレが記録更新 宮崎正弘

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