WASP(ワスプ)とは、ホワイト、アングロ・サクソン、プロテスタントからとった略語だが、アメリカ社会の主流を指すという。この層からアメリカ大統領が当選してきている。例外としては、カトリックだったJ・F・ケネディがあるが、民主党の大統領候補にバラク・オバマ氏が選ばれれば、例外に新しいページが加わることになる。
スーパーチューズデー以降、オバマ氏は八連勝、これだけをみればオバマ圧勝の雲行きだが、獲得した代議員数は横一線の接戦状態にある。勝敗の帰趨を決めるのは、大票田テキサス、オハイオなど四州の「三月四日決戦」というのが識者の一致した見方である。
オバマ氏にとって劣勢が伝えられるテキサス、オハイオ両州でヒラリー・クリントン氏に逆転勝利すれば、夏の民主党大会を待たずにWASPジンクスを破ることになる。
それにしても昨年暮まではヒラリー氏が圧倒的に優位とみられていただけにこの苦戦はまさに想定外。苦戦の原因について米マスコミ界の識者がいろいろと指摘しているが、共同の外信部の米大統領選通は「仮にヒラリーが負けるとしたら、”戦犯”は三人いる」と分析している。
共同外信部のOB・松尾文夫氏の「アメリカ・ウォッチ」は定評があるが、この戦犯三人説も説得力がある。
一人目はブッシュ大統領。民主党が共和党から政権を奪回するだけなら、ここまでブッシュ不人気がひどくなる必要がなかった。副産物として「チェンジ(変化)」を掲げるオバマ氏への追い風となり、余波として「経験」を唱えるヒラリー氏の足を引っ張っているという。
二人目はナンシー・ペロシ下院議長。女性として国家ナンバー・スリーの要職についたが、その後のペロシ氏の下院運営には、これといった成果がみられない。期待外れの失望感があって、女性初の大統領を狙うヒラリー氏にも「同じことが起きるのではないか」という観測が生まれているという。
そして最後には夫のビル・クリントン氏に対する不評である。同じ民主党員で政策的な主張もさほど違わないオバマ氏を口を極めて批判した。勢い余ってヒラリー氏に手厳しい米メデイアにも「恥を知れ」と言い放っている。
私はむしろ最後のビル・クリントン氏が前面に出たことが、ヒラリー氏のマイナス材料になったとみている。大統領時代に女性問題を起こしたビル・クリントン氏のことである。テキサス、オハイオなど四州の「三月四日決戦」を前にして、シャシャリでて妻の足を引っ張るのはやめた方がいい。
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1534 アメリカ社会の主流を指すWASP 古沢襄

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