経済制裁を受けて航空燃料が枯渇していた北朝鮮空軍が訓練飛行もままならない状態が続いていた。パイロットの技量も落ちていると西側軍事筋はひとしく見ている。
それが最近13年ぶりに1日出撃回数で最多を記録するなど訓練強化の実態が明らかになっている。韓国の中央日報が伝えている。韓国の国防筋によれば「冬季訓練中の北朝鮮空軍が先月中旬に1日170回ほど出撃するなど、出撃回数を大きく増やすとともに、深夜の時間帯にも多く出撃した」と明らかにした。
六カ国協議で日本を除く各国が、電力不足に見舞われている北朝鮮に、核開発を断念させる見返りとして重油の供給を始めたのだが、民生よりも軍事に使用されている実態が分かった。
韓国が懸念しているのは、これまで一度もしていなかったイリューシン-28爆撃機を、配置された後方基地から前方基地に展開する訓練を何回も実施していることにある。国防筋は「爆撃機の前方展開訓練は前例にあまりない」と北朝鮮の意図を図りかねている。
北朝鮮空軍の保有機は約700機、それに約300機のヘリがあるといわれている。空軍は六個師団、うち三個師団が戦闘機と爆撃機を保有する師団。二個師団が輸送機とヘリ保有する師団、他の一個師団は訓練師団という。
保有機数は多いが、ほとんどが1950年代から1960年代にかけてソ連や中国から供与された旧式の軽爆撃機と戦闘機。だが1980年代になってソ連は近代的な全天候防空及び地上攻撃機を供与している。
それがミグー23/フロッガーやミグー29/フルクラムなどの新鋭機で、米韓軍に対抗可能な戦闘機。しかし主力は旧式のミグー21フィッシュベッド(120機)とミグー19ファーマー(100機)。博物館入りの旧式機が主力と酷評する向きもある。
むしろ射程1500キロのノドン・ミサイル二百基が日本にとって当面の脅威といえる。だが、ミサイルが日本に対して発射されれば、日本に基地を持つ在日米空軍が黙っていない。北朝鮮の四カ所のミサイル基地を報復攻撃して、第二波攻撃を防ぐことになる。
それを迎え撃つ北朝鮮の空軍が弱体だから、そのような冒険をおかすことは考えられないとみるのが常識なのだが・・・。となれば、再開された北朝鮮空軍の訓練強化は何を目的にしているのだろうか。多分に政治的なデモンストレーションのような気がする。
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