共同中国総局の記者が河北省政府当局者に拘束されて三時間の取り調べを受けた。釈放されたから大騒ぎする必要はないが、中国での取材の特殊性を知るうえで、検証しておく必要がある。
拘束の理由は共同記者の車から現地で購入した「メタミドホス」の瓶が発見されたことによる。中国側は「中国では07年1月からメタミドホスの農薬としての使用が禁止され、08年1月からは既に輸出契約を結んでいる工場を除き生産や販売、使用、所持、運搬が重大な違法行為だ」と指摘した。
共同側も「取材上の行為が中国の法律に反したことは遺憾だ」とのコメントを発表している。(伊藤編集局長)
しかし外国特派員が違法である「メタミドホス」を簡単に購入できることに問題があるのではないか。中国産の「メタミドホス」と輸入された毒ギョウザの「メタミドホス」を分析比較すれば、中国で「メタミドホス」が混入した有力な証拠となる。
法律違反をいう前に①「メタミドホス」が野放しになっている現状の改善②中国産の「メタミドホス」の分析結果を中国側が積極的に公表する・・・ことが必要ではないか。法的に片手落ちの状態で、外国人記者が拘束されるのは不合理と言わねばならぬ。
しかし、これが取材活動の自由がない中国の実態である。日本など民主主義国では考えられない共産主義国の実情が明らかにされた面で、むしろ共同特派員の行動は、いちがいに非難されるいわれがない。国外追放の措置を受ければ、世界は取材活動の自由がない中国の実態をあらためて認識することになろう。
ここで恐れ入って取材活動の自粛するようでは、何のために北京に駐在記者を派遣しているのか分からなくなる。伊藤修一編集局長の「遺憾」というコメントは、日本語特有の便利な表現である。それ以上の謝罪をする必要がない。役員OBとしては、そう考える。喧嘩をする必要はないが、毅然たる態度が必要ではないか。
<中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は28日、北京での記者会見で「日本の記者がメタミドホスを購入、所持し、持ち出そうとした事案を摘発した」と語った。これを受けて共同通信社は同日、中国総局の記者が15日に河北省政府当局者に約3時間拘束されたことを明らかにした。
共同通信によると、ギョーザの製造元「天洋食品」がある河北省から記者が中国総局のある北京に戻る途中、検問で車の後部座席にメタミドホスの瓶があるのを発見され、当局者の事情聴取を受けたという。聴取内容は「取材内容にかかわることで、明らかにできない」としている。
共同通信の伊藤修一編集局長は「河北省の工場周辺でメタミドホスが入手可能か検証するために購入したと聞いている。取材上の行為が中国の法律に反したことは遺憾だ」とのコメントを発表した。
魏副総局長は会見で「中国では07年1月からメタミドホスの農薬としての使用が禁止され、08年1月からは既に輸出契約を結んでいる工場を除き生産や販売、使用、所持、運搬が重大な違法行為だ」と指摘した。(毎日新聞)>
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