1587 世界最強の米原潜を韓国で公開 古沢襄

トマホーク154発を搭載、世界最強の攻撃力を持つ米原子力潜水艦「オハイオ」が韓国の釜山基地で初公開されていた。盧武鉉前大統領の北朝鮮融和外交から、日米との”実用主義”を唱える李明博大統領の誕生は、北朝鮮にとって気になる出来事。
韓国軍事筋によれば北朝鮮は夜間の軍事訓練を開始したといわれる、暗黙のうちに威圧行動にでたとみていい。米原子力潜水艦の公開は、米国が韓国の防衛から手を抜かない示威行動ともとれる。
英国の「ジェーン海軍年鑑」は高額なので入手していないが、米海軍にとってオハイオ級原子力潜水艦は最高の機密の属する軍艦である。以前にワシントン州バンゴールにある米海軍基地内で修理中のオハイオ級が航空写真で撮影され、メディアに流れて問題となったことがある。
韓国の朝鮮日報によると米韓合同演習に参加したオハイオは、停泊した釜山基地で韓国メディアに内部も公開されたという。盧武鉉時代には考えられなかったことだ。軍事機密が漏洩する日本でもオハイオのメディア公開はされていない。
<世界最強の地上攻撃能力を持つ米国の原子力潜水艦「オハイオ」が26日午後、韓国では初めてメディアに公開された。来月初めから行われる韓米合同軍事演習の「キーリゾルブ」や野外機動訓練「フォールイーグル」に参加するため20日に釜山基地に入港した。同潜水艦が韓半島(朝鮮半島)にやって来たのは今回が初めて。原子力潜水艦の内部をメディアに公開するのは世界的にも非常に珍しいことだ。
釜山海軍作戦司令部埠頭に停泊中の原子力潜水艦オハイオ(SSGN-726)は「巨艦」だった。全長170.7メートル、全幅12.8メートル、満載排水量1万8750トン。艦長であるアンドリュー・ヘイル大佐は韓国記者団に対し、「潜水艦はもちろん水上艦艇の中で最も多くの巡航ミサイル“トマホーク”を備え、世界最強の地上攻撃能力を誇る」と胸を張った。
湾岸戦争やイラク戦争など、紛争があるたびに必ずお声のかかるトマホーク154発を搭載している。トマホーク154発は有事の際、北朝鮮の核施設やミサイル基地、空軍基地、指揮所といった主要戦略目標を大きく破壊できる力を持つ。オハイオに搭載されているミサイルはトマホークの中でも最新型で、1609キロ離れている目標物の半径数十メートルを焼き尽くせる。また、発射後も目標物を変更し破壊することができる。
オハイオのもう一つの特徴は、特殊部隊員による作戦が可能な点だ。世界最強として知られる米海軍特殊部隊チーム「シール」などの特殊部隊員66人を収用でき、船体外部には特殊部隊員が乗り込み移動できる最新型潜水艇(ASDS)2隻を搭載できる円筒形の構造物もある。ヘイル艦長は「今回の韓米合同演習において、韓米の特殊部隊員を一緒に乗せ、訓練するのがオハイオの主な任務」と話している。
オハイオの排水量は1200‐1800トン。内部が窮屈な韓国海軍の従来型潜水艦とは比べものにならないほど広く、ハイテク装備を誇る。2列ずつ並び、計24門ある直径2.7メートルの垂直発射管のうち、22門にそれぞれ7発ずつトマホークが積まれている。残りの2門は特殊部隊侵攻用などに使われる。垂直発射管の間にはランニングマシンなどの運動器具が置かれてある。
ディーゼル電池で推進される従来型潜水艦は1回の航海で2週間ほど作戦を行うのに比べ、原子力で進むオハイオは1回の航海で3‐6カ月も作戦が遂行できる。オハイオでは乗組員160人が体力維持のため発射管の通路を陸上競技場のトラックに見立てて走ることがあるが、7周すればその距離は1.6キロにもなる。
オハイオはもともと、冷戦時代の1981年に旧ソ連に対抗するため、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「トライデント」24発を搭載する戦略潜水艦として建造された。だが、冷戦の終結・米ソ戦略武器削減交渉・対テロ戦増加など、安全保障環境や米国の安保戦略変化に伴い、4億ドル(約430億円)を投じ2006年に巡航ミサイルの発射が可能な潜水艦に改造された。
軍事専門家は、「オハイオの韓半島初訪問・公開は、韓半島有事の際、米増援戦力にオハイオが新たに含まれることを示しており、北朝鮮はもちろん、中国にも非常に力強いメッセージを送っている」とみている。この日は特に、初めてニューヨーク・フィルハーモニックの平壌公演が実現したことから、こうした見方が強まっている。(朝鮮日報)>
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