1594 黄砂、東日本まで飛散 渡部亮次郎

<砂漠域からの黄砂が、今年初めて九州を中心に観測され始めた。3日には東日本にまで広がる見込みだ。気象庁は「西日本や沖縄・奄美地方では視程が5キロ未満になる所があり、交通への障害が発生する恐れがある」と注意を呼びかけている。
今年初めての黄砂は2日に長崎県内で観測され、3日には、熊本、福岡、鹿児島県内で観測された。見通しが5キロ未満になると車の運転や飛行機の運航に影響が出る恐れがあるという。
同庁は黄砂は3日には東北南部~関東、北陸地方まで飛散するとみている。>アサヒ・コム 2008年03月03日10時17分
黄砂(こうさ)とは、東アジアや中央アジア内陸部の砂漠または乾燥地域の砂が、強風を伴う砂嵐などによって上空に巻き上げられ、主に春を中心に東アジアの広範囲に飛来し、地上に降り注ぐ気象現象のことである。降り注ぐ砂のことも「黄砂」と呼ぶ。
日本では江戸時代頃から、書物に「泥雨」「紅雪」「黄雪」などの黄砂に関する記述が見られるようになった。
古くは、日本では少なくとも7万年前以降の最終氷期には黄砂が飛来していたと考えられている。このころ(7万年前~6万年前)の黄砂の堆積量は、完新世(1万年前~現在まで)の3~4倍と、かなり多かったと推定されている。
主な発生地としては、西からタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原がある。国で言えば中国、モンゴルにあたる。このほか、カザフスタン東部など中央アジア諸国の砂漠・乾燥地域も発生源ではないかと見られている。
ただし、砂が舞い上がる条件が整えばどこでも発生しうると考えられており、必ずしも前述の場所が発生地とは限らない。実際に、アジアの広い地域で黄砂のような砂の舞い上がりが発生している。
これらの発生地域はおおむね年間降水量が500mmを割り、所によっては100mm以下という乾燥地帯となっている。そのため、地表が砂で覆われている地域では、風により簡単に砂が舞い上がってしまう。
強い風の場合、砂が地上付近から上空高くまで巻き上げられ、沙塵暴と呼ばれる激しい砂嵐となる。砂が巻き上げられる高さとして、上空7~8kmという観測結果がある。
黄砂の年間発生量は2億~3億tで、降下量は日本で1年間に1平方キロメートルあたり1~5t、北京で1ヵ月間に1平方キロメートルあたり15t程度と推定されている。
時期としては、春に最も多く発生する。春になって高気圧の勢力が弱まるとともに、偏西風が強まり、低気圧が発達しながら通過するなどして風が強い日が増え、黄砂の発生も増えるためと考えられている。春の中盤に入り暖かくなってくると植物が増え、夏になると雨が多くなるため、次第に黄砂の量は減り、秋に最少となる。
黄砂の濃度が高い中国や韓国では、乗用車の速度規制が行われたり、マスク等の着用を奨励したり外出を控えるよう促す情報が出される。気候によっては冬場でも発生し、これが雪に混じると積雪が黄色く見えることもある。
大規模な黄砂が発生したときは、気象衛星などの画像に写り込むことがある。
これまでで最も大きな被害は、1993年5月5日に中国北西部(寧夏回族自治区、内モンゴルアラシャン盟、甘粛省)で発生した沙塵暴。
死者・行方不明者112人、負傷者386人、家畜・牛馬の死亡・行方不明約48万3千頭、4,600本の電柱が倒壊、被害を受けた耕地21万ha、森林被害18万ha、経済損失66億円のほか、多くの道路や鉄道が埋没するという大きな被害を出した。
中国の森林管理局によれば、黄砂の影響を受けている中国人は約4億人で、直接的な被害だけでも540億元(約840億円)に及ぶと言う。
韓国では2006年4月には2015μg/m3が観測され、空の便も韓国国内便6便が欠航している。
韓国政府の推定によれば、黄砂の諸影響による同国での経済損失は、年間およそ3兆~5兆ウォンにも達するという。
日本では、気象庁により、黄砂とは大陸性の土壌粒子によって視程が10km以下になる現象と定義されている。夏以外に観測されるが、特に春先(3月から5月)によく観測される。
西日本や日本海側で観測されることが多い。山脈を隔てて東側となる東日本や太平洋側、内陸部では観測数は少ないが、時々観測されるようになった。
2000年から2002年の黄砂観測日数が50日前後となり、20日程度だった平年値を大幅に上回った。
日本で観測される黄砂は大気がかすみ、微量の砂が積もる程度で、大きな被害はほとんど報告されないが、健康被害は数多く報告されている。
遠くで観測された例では、アメリカ合衆国のハワイ州やカリフォルニア州などがある。黄砂の成分が、ハワイの森林や海洋のプランクトンの生育に関わっているのと研究結果もある。
北朝鮮やロシアの沿海州・樺太なども黄砂の通過ルートとなっていると考えられている。
中国では、BC1150年頃に「塵雨」と呼ばれていたことがわかっている。史料においてはこのほか、「雨土」「雨砂」「土霾」「黄霧」などの呼称があった。また、BC300年以後の黄砂の記録が残された書物もある。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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