国会審議がストップしている。民主党など野党側が予算案の衆院「強行」採決を不満として全面審議拒否に出たためだ。
永田町の隠語では、審議拒否を「寝る」、正常化することを「起きる」という。
参院で与党は過半数に達していないから、定足数が足りないため委員会も開会できない。首相や閣僚がとりあえず委員会室で1時間ほど待機して野党の出席を促し、ころあいをみて引き上げるという、まさに政治の世界でしか通用しない非生産的なことをやっている。
自民、公明の与党側は「あせりを強めている」といった報道もあるが、なに、あせってなんかいない。民主党の「自滅」を待っているだけだ。
むしろ困っているのは民主党のほうだろう。「起きる」ための仕掛けを考えなくてはならないからだ。
与党側に「強行」採決を謝罪させ、道路特定財源問題で集中審議を約束させる、といったあたりで起きてくるのではないか。謝ってすむことなら、与党側はなんだってやる。謝罪文のひとつやふたつ、わけのないことだ。
まあ、この1週間がせいぜいだろう。いずれ、世論は野党側にきつく出てくる。いつまでも審議拒否を続けられるはずがない。
先の臨時国会からこの通常国会にかけて、民主党の国会対応はまったくいいところがない。国の基本にかかわる案件・・・インド洋の海上自衛隊支援活動や年金、道路特定財源などを、ことごとく「政略」に使ってきた。
沖縄の少女暴行事件もイージス艦の衝突事故も、事態の究明より、政府与党をいかに「とっちめるか」が先行する。昔の社会党と同じだ。
旧社会党は政権担当の能力も資格も持たなかった(総選挙で過半数を超える候補を立てられなかった)から、「なんでも反対」が通用した。民主党は政権交代可能な政党になるといっているのだから、旧社会党流は通らない。
日銀総裁が決まらなくても、「思いやり予算」が確定しなくても、現実的にそう大きな支障はない。政府与党は民主党の責任にしておけばいい。
ガソリン税にしても、蔵出し税だから4月1日から必ず下げなくてはいけないものでもない。値下げを見込んだ買い控えが起きて、結果的に下がらなかったら混乱は起きるだろうが、これまた民主党のせいだということになる。
予算本体は30日の自然成立規定によって年度内成立が確定したのだ。このことは政権にとって死活的という言葉を使ってもいいほどの重要な意味を持つ。関連法案の成立が多少ずれ込んだところで、なんとでもなる。
政府与党はそのくらいのハラなのではないか。それに比べて民主党のほうが、実は余裕がない。与党の「暴挙」に対する非難の声は大きいが、カラ元気だけのようにも見える。
こういう「ミエミエ」の対応ばかり続けていると、民主党は小沢氏が告白してしまったように「政権担当能力のない非力な政党」の烙印を完璧に押されてしまうことになる。政権交代可能な2大政党時代の到来を夢見る立場としては、そこがなんとも口惜しい。
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