日銀の福井総裁の任期は19日までだ。後任人事が決まるまで国会ではほぼ10日かかるのがこれまでの慣例だ。
だから、福田首相は7日、後継総裁として武藤敏郎副総裁の昇格案を提示する。
この問題、福田首相にも野党第一党の民主党にも、「ねじれ国会」にあって、「政治の責任」がかかる重大事となってきた。
日銀総裁はいうまでもなく日本の金融政策の最高責任者であって、独立した存在だ。国際的にも重要な立場にある。仮に総裁不在の事態となったら、日本の立場はなんともおかしくなる。
多少の空白が生じても現実には支障はないという見方もある。だが、「後継総裁を決められない日本」が、あなどられるのは確実だ。
福田首相としては、民主党が反対しているからといって、武藤氏昇格案を差し替えるわけにはいかない。政権担当者として、民主党に媚びを売るような真似はできない。
民主党はどうか。総裁人事を「政略」に利用しているという批判にどう答えるか。
武藤氏が財務事務次官経験者であることから、民主党は「財政と金融の分離原則に反する」としている。これもおかしい。
「財金分離」のために、すでに金融庁が発足しているのである。
民主党の主張だと、今後、財務省OBは絶対に日銀総裁には就任できなくなる。反対理由があまりに根拠薄弱だ。
日銀総裁というのは国際的にも影響力を持ち得る人材でなくてはならない。先進各国の中央銀行総裁とわたり合うことができる人脈と力量を備えていなくてはいけない。
福田首相は武藤氏を最適任と判断した。ならば、これを最後まで押し通さなくては政治のスジを曲げることになる。
民主党は振り上げたコブシをどう降ろすか、ここでも難しい立場に追いこまれつつある。「政略」を貫いて、これをテコに解散、総選挙にまで追い込むというのであれば、それはそれで政治の世界の争闘戦だから、徹底してやればいい。だが、そういう展開にはなるまい。
となると、残るのは、民主党の「いやがらせ」だけになってしまう。
党首会談での決着が早くも落としどころとして模索されている。福田首相と小沢代表が「ねじれ」克服のためにどう動くか。大連立が浮上した昨年10-11月の党首会談の続編となれば、これは要注目だ。
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