1627 中国国内機のテロ未遂事件? 古沢襄

中国で起こる話を額面通り信じるわけにはいかない。自由な言論が封殺されている国だから、権力者に都合のいい様に情報操作が行われると考えてかかる必要がある。江沢民の反日キャンペーン、毒ギョウザ事件、伊藤正氏の「鄧小平秘録」を禁書など、政治的な意図が露骨に現れる。
北京オリンピックは、そういう中国の体質を世界にみせる面で役に立つ。これが中国の体質を変えるきっかけになれば良いが、逆に臭いものに蓋をする強圧政治が強化される危険性もはらんでいる。
ウルムチを飛び立った国内線旅客機でテロ未遂事件があったと発表があった。北京オリンピックを標的にしたウイグル独立派の仕業だと匂わせている。真相は分からない。明らかなのはウイグル独立運動に対して行ってきた苛酷な弾圧。
<【北京9日共同】中国新疆ウイグル自治区トップの王楽泉・共産党委員会書記らは9日、記者会見で、ウルムチを飛び立った国内線旅客機がテロ未遂事件に遭い、甘粛省蘭州市に緊急着陸したことを明らかにした。またウイグル独立派が北京五輪を標的とするテロの準備を進めているとの見方を強調した。テロ未遂事件の犯人がウイグル独立運動に関与している可能性を示唆するとともに、独立派を「テロリスト」と激しく非難した。(共同)>
新彊ウイグル自治区は、1999年に独立を求めるイスラム教徒が警官隊と衝突する事件が発生したが、それ以前にもウルムチでバス三台に仕掛けられた時限爆弾が爆発し死傷者が出している。
1989年の天安門事件では多くの学生や市民が犠牲となったが、学生のリーダーの一人にウイグル族のウーアルカイシがいた。ウイグル語名は「ウルケシュ・ダブレット」。北京師範大学の学生で、穏健派でテロ行為に走る人物ではない。
しかし学生デモの武力鎮圧後、香港に逃れ、さらにフランスに亡命した。アメリカのハーバード大学を卒業後、台湾に渡って政治評論家として活躍していた。
ウイグル独立派の中には過激行動に走る者もいるが、多くはウーアルカイシの様な穏健派である。欧米でウイグルの自治独立を求める活動を続けている。しかし中国当局は穏健派も含めて自治独立の動きを圧殺することに躍起となっている。
ウイグル族は古代トルコ遊牧民族の末裔といわれている。モンゴル、中国西北部、中央アジアにまたがる大帝国を築いた歴史がある誇り高き人たちである。
それを北京の漢族の支配下に置こうとするから無理が生じる。チベットについても同じことがいえる。一口に過激なテロ集団と見立てるのは、納得できない。
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