共和党の中で「マケイン大統領・ライス副大統領」のドリームチケットが噂されている。だが当のライス米国務長官は「私は高校の生徒会長にすら立候補したことがない。そういう遺伝子が欠落しているみたいです」と否定的。退任後はカリフォルニア州に戻ってスタンフォード大学の教壇に立つつもりの様だ。
米民主党が女性のヒラリー・クリントンと黒人のオバマの一騎打ちになったので、女性と黒人を兼ねるライスを副大統領候補に立てようという共和党のしたたかな計算もかいまみえる。南部に多い黒人票が目当てということもある。
<「高校で生徒会長に立候補したこともないの。そういう柄じゃないのよ」。米大統領選で、共和党の副大統領候補になってほしいと期待する声が一部で高まっているライス米国務長官は22日の記者会見で、出馬に関心がないことをあらためて強調した。
オバマ、クリントン両上院議員が指名争いで歴史的接戦を繰り広げ、メディアの報道も過熱する一方の民主党に対し、支持率が低迷するブッシュ大統領の共和党は「救世主」が欲しいところ。だが、ライス長官に白羽の矢が立つことはなさそうだ。
ライス長官は、北朝鮮とイランの核問題など課題は山積みだと指摘し、来年1月までの残り任期は「全力で駆け抜ける」と述べ、国務長官としての仕事に専念する考えを強調。「今回の大統領選にはどんな形でもかかわらないと思う」と述べ、候補者への応援活動なども行わないと語った。
ライス長官は退任後、政治学の教授を務めていたスタンフォード大に戻ることを公言している。(ロイター)>
このドリームチケットは話題とはなったが、実現はしないというのが大方の見方。共和党の大統領候補としてマケイン上院議員の指名が確実だが、民主党候補がオバマであれヒラリーであれ、これに勝つには共和党右派の支持を得なくてはならない。
副大統領の候補の条件は共和党右派から受けのよい人物となる。さらにはマケイン上院議員は外交・安全保障政策が得意分野だが、経済政策には強くないといわれている。この条件を満たす人物となると帯に短し、たすきに長し。
今のところマケインと指名争いを演じて撤退したミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の名前があがっている。経営危機に陥っていたベイン&カンパニーを一年で経営再建、財政危機に陥っていたソルトレイクシティオリンピック組織委員会の会長となって立て直し、オリンピックを成功に導いた手腕は高く評価されている。
その半面、マケインと同じリベラル。モルモン教徒であることもキリスト教右派が強い共和党保守派の支持を得られるか、という疑問符がつく。
保守派の支持だけを考えれば同じように指名争いから撤退したマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事。親イスラエル派でもある。南部諸州に支持基盤を持ち、キリスト教原理主義派の熱烈な支持がある。だが経済に強いとはいえない。
マケインは大統領選の直前まで副大統領候補を決めないのではないか。民主党との接戦となれば、マイク・ハッカビーを選んで勝負に出る可能性がある。逆に直前の世論調査でマケイン優位と出れば、ミット・ロムニーではないか。アメリカ経済の立て直しは、大統領にとって最優先事項になるからである。
とても民主党候補に勝ち目がないとなれば、ブッシュ大統領に直談判して、あっと驚くドリームチケットが飛び出すかもしれない。オバマ、ヒラリーの角逐に関心が集まっているが、マケインの副大統領候補も結構面白い話題である。
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1666 共和党のドリームチケット 古沢襄

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