1683 戦時中の大本営発表なのか? 古沢襄

北京オリンピックが八月に迫っている。そこで点火される聖火が24日、オリンピック発祥地のギリシャ・オリンピア遺跡で採火されたが、北京五輪組織委員会の劉淇会長のスピーチ中にチベット暴動に対する中国当局の反人権的政策への抗議する男性たちが、テレビ中継で全世界に放映された。
パリに本部がある「国境なき記者団」メンバーのパフォマンスだが、中国のテレビはこの部分をカットして流している。13億の中国人には一切知らされない異常さを世界に見せた点でパフォマンスは成功したといえる。
ギリシャ警察は1000人以上の警官を動員して式典の妨害行為等を警戒したが過剰警備は行っていない。日本では4月26日に長野市内で聖火リレーがスタートするが過剰警備はすべきでない。チベットの悲劇を日本人がどうみているか、それが試される。暴力行為は許されないが、抗議デモには深い共感をもって見守る姿勢が必要であろう。
それにしても中国の国内報道は異常である。戦時中の大本営発表を思わせる。真実の報道をしようとする中国人ジャーナリスは、すでに多数が検束されている。民主化された日本など各国では想像もできない事態が進行している。次の「人民網日本語版」がそれを示している。
<「 西蔵(チベット)自治区の向巴平措(シャンパ・プンツォク)主席は17日、両会(全人代と全国政協)出席のため滞在中の北京で記者会見し、拉薩(ラサ)で発生した暴行・破壊・略奪・放火事件の状況について、次のように語った。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
拉薩市で14日、暴行・破壊・略奪・放火の重大な暴力犯罪事件が発生した。これはダライ・ラマ集団が組織的、策謀的、入念に画策煽動し、内外の「西蔵独立」分裂勢力が互いに結託して引き起こしたものだ。
14日午前11時頃、一部の僧侶が小昭(ラモチェ)寺で勤務中の人民警察を石で攻撃した。その後、一部の暴徒が八廓街(バルコル)に集結を始め、国家分裂のスローガンを叫び、暴行・破壊・略奪・放火活動を公然とはたらき、事態は急速に拡大していった。
不法分子は拉薩市街の主要通りに面した商店、小中学校、病院、銀行、電力・通信施設、報道機関などに暴行・破壊・略奪・放火をはたらき、路上の車両を焼き払い、通行人を追って殴打し、デパート・通信拠点・政府機関を襲撃し、現地住民の生命と財産に重大な損失をもたらし、現地の社会秩序を深刻に破壊した。
今回の事件の発生は、実際には3月10日に一部の不法分子が不法に集結して起こした騒動に遡る。これら不法分子は公安・人民警察の制止を聞かず、「西蔵独立」のスローガンを叫び、勤務中の人民警察を挑発し、罵り、棒・小石・匕首を用いて暴力的な攻撃を行った。
わたしが現在把握している状況によると、今回拉薩で発生した暴行・破壊・略奪・放火暴力事件で、暴徒は車両計56台を破壊・放火し、無辜の市民13人を焼き殺し、あるいは切り殺し、公安・人民警察は数10人が負傷、うち4人が重傷を負った。武装警察は61人が負傷し、うち6人が重傷を負った。暴徒は300カ所余りに放火し、民家・商店計214棟を焼き払った。
西蔵の各民族人民は、拉薩で発生したこの暴行・破壊・略奪・放火の暴力犯罪事件に、極めて大きな憤りと厳しい非難を表明している。西蔵自治区は迅速に公安・武装警察・その他関係方面を組織し、火災を鎮火し、負傷者を手当するとともに、学校・病院・銀行・政府機関の治安維持を強化し、暴行・破壊・略奪・放火の暴力犯罪活動を法に基づき取り締まった。私たちの取ったこれらの措置は、社会の安定を守り、国家の法制を守り、西蔵各民族人民の根本利益を守るためのものである。現在、拉薩情勢はすでに落ち着き始め、社会秩序は安定を取り戻している」。(「人民網日本語版」2008年3月18日)。>
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