日本人は、成功して陽の当たる道を歩いた頼朝より結局報われない悲劇のヒーロー義経を好む。民主党は昨年夏の参院選挙では判官だったが、経済界が混乱した今となっては判官は自民党になった。次期総選挙で民主党は負ける。
様々な調査を分析すると、国会を混乱させる事によって福田政権の打倒を実現し、民主党政権を樹立するという民主党の戦略は国民の支持を失っている。小沢代表は戦略を間違えた。
産経新聞の元政治部長花岡信昭さんは2008年3月中旬、モスクワに出張された。それを26日の産経新聞で触れたが、次の一節が気になった。
<先週の数日間、粉雪の舞うモスクワで過ごした。「日露専門家対話」というシンポジウムに招かれて、日本政治の現状を報告した。
「衆参ねじれ」を背景にした混乱は、向こうの日本研究者にも理解不能のようで、説明に難儀した。(中略)モスクワ訪問は学者、政治家ら十数人のメンバーだったが、その中に、民主党の前原誠司副代表(元代表)もいた。
この重大な時期に国会を離れていたのは、不毛の攻防戦から距離を起きたかったためではないか。>
また一流商社マンの泉幸男氏は自らのメールマガジンで自らがしばしば仕事で滞在する台湾について、その政治状況に触れた後、
<さしずめ小沢一郎氏などは、馬英九当選者のひそみにならい、衆院選に勝って民主党の首相を成立させ、「ねじれ国会」解消でとんとん拍子の田中角栄式政治を……と夢見ているかもしれない。
国民党の立法院がこの8年間、陳水扁大統領の足を引っ張りつづけたように、民主党の参議院も自民党政権の足を引っ張りつづける。きっと国民は「ねじれ解消」を何よりも切望して、衆院選でも自民党を負けさせるだろう……というわけにはいくまい。
それなりの新鮮感を武器に闘った台湾の馬英九陣営と異なり、日本の民主党執行部はあまりに古顔揃いだ。
参院選のときに、日本の一部をおおった漠然とした期待感は、「何でも反対」戦術を見せつけられて、萎えきった。>(26日)
大學出、中堅サラリーマンが、支持しかかった民主党について、硬直した国会対策を見て「萎えきった」とは尋常ではない。民主党はこうした批判に全く気付いていないのだ。
確かに福田首相や伊吹幹事長の国会対策は上等とはいえないにしろ、民主党の「何でも反対」と映る国会戦術は、それ故に潰えた嘗ての日本社会党を彷彿とさせ、国民に決して好い印象は与えていない。
ガソリンが1リットル当たり25円も安くなれば消費者が一時的に民主党を評価するだろうが、その代わり空く地方への道路財源の穴はどうするのか。そんな事は知らぬことでは、地方から猛反撃を食うことは必定だ。
百戦錬磨の小沢代表。まさかこれだけで福田倒閣が実現し、自らが直ちにそれにとって替われると思っているはずは無い。いわゆる「大連立」に応じた際、その理由として自ら説明したように、民主党に政権担当能力に無い事を挙げたではないか。
本来の小沢であれば一般財源化プラス何かしらを引き出して引き下がるというのが角栄直伝の戦術だった。それが益々過激化する硬直戦術にも口を出して止めよういるそぶりは見えない。
おそらく「行け行けどんどん」といきり立つ過激勢力を抑える「統治能力」を失い、戦術論への立ち入りを阻止されているのでは無いか。或いは党内が分裂寸前なので、過激論でしか党内を纏めることが不可能になっているのか。
なんだか悶える自民党の将来も暗くなっているが、取って替わるべき民主党にも、明るい日差しは全く見えない。文中敬称略。2008・03・27
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