年度末の国会は土俵を四月に広げてバトルを繰り広げる結果となった。町村官房長官は四月一日からガソリン代が下がっても、租税特別措置法改正案を再可決する意向を表明している。
ガソリン代の一時的な値下げよりも、これによって生じる国や地方の歳入欠陥を防ぐことの重要性を強調している。地方公共団体の首長の多くは、それを望んでいる。国民がガソリン代の25円下がることを望むか、地方財政の維持を望むか、世論調査をしてみる必要があろう。
<町村信孝官房長官は29日午前、東京都内で開かれた自民党の会合で講演し、揮発油(ガソリン)税にかかる暫定税率などを含む租税特別措置法改正案に関し「4月1日から(25円)下がるであろうガソリンの値段が長続きしてもらいたくない。一刻も早く参院で否決でも、可決でもいいからしてもらい、また25円上げさせていただきたい」と述べ、衆院で同法改正案を再可決してガソリンの値段を元に戻すべきだとの認識を示した。その上で、「そうしないと国の財政も、地方財政も、温暖化対策も何もできない」と強調した。(毎日新聞)>
このような事態になるのは民主党の頑な態度から予想されていた。多くの新聞が論説で小沢民主党の突っ張り戦術に批判を浴びせているが、聞く耳を持たなかった。突っ張ることによって福田内閣を追い詰め、解散・総選挙に持ち込もうという政略が優先したからである。
対する福田首相は小沢氏との党首会談によって事態を打開する道を選んだが不発に終わっている。まだ大連立の夢を追っているかにみえる。政局に対する甘さがあったといわざるを得ない。
遺された道は、いずれ総選挙によって雌雄を決するしかない。しかし支持率が低下した福田首相の下で選挙をすることは考えられない。考えられるのは麻生太郎氏を擁立して、小沢民主党と争うことではないか。その時期が意外と早いかもしれない。
次期首相の国民的な支持は、今のところ麻生氏が群を抜いている。肝心の小沢氏に対する期待度が低い。しかも民主党そのものの支持率が20%を割っている。現状では総選挙で民主党が勝つ公算が低いとみるべきであろう。
そうなると総選挙の結果、現状以上に衆参ねじれが深まり、国政は完全に停滞するのではないか。政治に対する国民の不信が高まろう。過去の歴史をみると、国民不在の国政が続くと極端な過激思想が台頭してくる。何となく嫌な予感がするのは私だけなのだろうか。いずれにしても戦後政治が経験したことがない「未体験ゾーン」に突入しようとしている。
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1705 「未体験ゾーン」に突入か 古沢襄

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