1716 警戒すべき北朝鮮軍の動き 古沢襄

盧武鉉政権下で封印されていた韓国・国防部の北朝鮮軍事情報がこのところ立て続けにオープンにされている。日本にとっては北京オリンピックやチベット騒乱よりも深刻な問題である。非武装地帯をめぐる北朝鮮軍の動きは、李明博政権に対する単純な威嚇の域を越えている。
ロイター通信によれば、北朝鮮の労働新聞は「李政権は、親米・反北朝鮮政策により南北関係を凍結し、朝鮮半島の平和と安定を破壊した。同政権は、この結果生じる悲劇の責任を問われるだろう」と激しく米国と韓国を攻撃している。
ここ一週間でミサイル発射実験のほか、南北経済協力事業では韓国側要員を追放、韓国への先制攻撃の可能性にも言及、一連の北朝鮮軍の動きは要注意といわねばならない。かなり危うい瀬戸際外交に転じている。
<2月25日に李明博(イ・ミョンバク)政権が発足してから最近まで、北朝鮮の戦闘機が10回以上にわたり非武装地帯(DMZ)や西海(黄海)上の北方限界線(NLL)周辺まで南下し、韓国側の戦闘機が緊急発進していたことが確認された。とりわけ北朝鮮が西海上で短距離ミサイルを発射した28日には、5回にわたりDMZとNLLに接近していたことが分かった。北の戦闘機が1カ月という短い期間に、このように集中的に南下してきたのは非常に異例のことだ。
また黄海道に駐屯している北朝鮮の代表的な機械化部隊、815機械化軍団が定例の野外機動訓練終了後も、引き続き南側へと異例の移動を行っているという情報が、最近になって確認されたという。
30日に韓国政府と軍の消息筋が明らかにしたところによると、平安南道の徳川空軍基地などから離陸したミグ21など北朝鮮の戦闘機が、韓国の現政権発足直後から最近まで10回以上にわたり、韓国が設定した戦術措置ラインを超えDMZとNLLに接近した。戦術措置ラインとは、北朝鮮の戦闘機は離陸後わずか3分から5分でソウルなど首都圏に到達できることから、それに備えるために韓国軍がDMZとNLLの20キロから50キロ北方上空に設定した仮想ラインで、北朝鮮の戦闘機がこのラインに接近すると韓国側からも直ちに戦闘機が発進する。
一方国防部によると、南北将校級会談の北朝鮮側代表だったキム・ヨンチョル中将が、今月29日に電話による通知文を通じ、韓国軍の金泰栄(キム・テヨン)合同参謀議長が北朝鮮による核攻撃への対策として、「先制攻撃を行う」と発言したとして、謝罪と発言の取消しを要求してきたという。これについて国防部は、「金合同参謀議長は先制攻撃について言及したことはない。2‐3日中に返事を送るかを決めたい」と説明した。(朝鮮日報)>
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