暖かさを通りこして汗ばむ日々となった。愛犬バロンは忠実に朝四時になると私を起こしにかかる。タバコをやめたので書斎の机の下に沖縄の野草発酵エキスのビンが置いてある。一日に三、四回はタバコ代わりに野草のエキスを飲んでいる。
骨髄腫の告知を受けて四年目を越えたが、血液内科の医師が首を傾げるくらい病状は進行していない。医師に黙って飲んでいる野草発酵エキスが骨髄腫の進行をとめているのかもしれない。日本では禁止薬となっているサリドマイドが骨髄腫の進行をとめる作用を持っているという。
近所の奥さんが、やはり骨髄腫の患者だった。犬の散歩でよく出会うのだが立ち話でお互いに同病と知った。ほぼ同じ頃に発病しているのだが、やはり進行状態がとまっているそうだ。月に一度、東京の病院に通っているという。野草発酵エキスのことを教えてあげた。
暖かいので一日に何度か庭に出て、裸足で芝を踏んでいる。バロンがじゃれつくので厄介だが、足を刺激するのは心地よい。横浜のマンションに十八年住んだが、芝生の庭を裸足で歩くのが夢であった。
少年の頃は中学校で草履を裸足で履いていた。チクチク痛む感触が懐かしい。足の裏を刺激する習慣がなくなっている。何もかも便利な世の中になって、それが人の身体を弱くしている感じがする。
ところで日本にも聖火がやってくる。聖火リレーなんて中国の国内でやってくれれば良いものを、はた迷惑なことである。広い中国なのだから気のすむまでグルグル回りをやっておればいい。アテネから航空便で聖火を上海まで運んでおけば良いものを・・・。世界各国の聖火リレーなんて余計なことを考えてくれた。
善光寺さんも迷惑なことであろう。右翼の街宣車が長野市に集まっているという。チベット弾圧に抗議する集会も長野市である。北京オリンピックを妨害させないと中国人の留学生たちが長野市に来るそうだ。警備に当たる長野県警もご苦労なことである。
四年ごとに行われるオリンピックの祭典は、スポーツを通して肌の色が違う人たちが、国の違いを乗り越えて競い合う。開催国が国威を発揚する場ではない。ヒトラーのベルリン・オリンピックから聖火リレーが始まったという。今の中国のやり方は偏狭なナショナリズムに凝り固まっているとしか思えない。
「滅洋」という言葉がある。中国の清王朝末期に流行った。山東省が発祥の地だった義和団が「扶清滅洋」のスローガンを唱えた。幕末の「攘夷」と同じ様な意味である。
北京オリンピックが迫っているのに中国の民衆がやっていることは、排外的なナショナリズムの発揚で、いつ「滅洋」になるのか分からない。主要都市でフランスの大手スーパー「カルフール」の不買運動が広まっているが、ひところの反日デモを思わせる。
この調子で北京オリンピックが開催されると、中国の観衆はフランスの選手たちにブーイングを浴びせるのではないか。中国各地を転戦した日本の選手たちも嫌な目にあっている。
今でこそフランスを目の敵にしているが、いつ矛先が日本に向いてくるか分かったものじゃない。そんな「滅洋」は願い下げである。この国がオリンピックの開催国になるのは十年早過ぎた気がする。
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(4月20日現在1782本)
コメント