新聞の日曜版で石川県の魚醤「いしり」を知った。烏賊の肝を塩漬けにして発酵させたものの汁だという。東京生まれの家人は私の郷里秋田県の名物「しょっつる」が大好き。「あれとおんなじよ」と乗り気でない。
なぜなら秋田県人のクセに私は鰰(はたはた)の魚醤で仕立てる「しょっつる」鍋はあまり好きではない。だから「いしり」を買っても食べられないだろうと、乗り気出ないのである。
そこで一番小さい瓶を取り寄せて烏賊の刺身につけて食べてみた。臭みが無く、コクがあり抜群に美味しい。烏賊も蛸も蟹も海老も食べないから血液にコレステロールが少ないといわれる私だが、「いしり」で烏賊を丸ごと平らげてしまった。
私が注文した先は(有)カネイシ
927-553 石川県鳳殊郡能登町字小木18-6
電話:0768-74-0125 Fax:0768-74-1398
http://www.incl.ne..jp/kaneishi/
以下 株式会社 尾崎 発行の「奥能登味情報 特集 いしる」より。
いしりとは?
魚醤油の一種である。スルメイカの肝を樽に塩漬けにし、上から重石をして発酵させる。春に仕込み、お盆の頃に桶の下に空けた穴から滴り出た汁を煮詰めて、布で濾して出来上がり。
醤油に比べ癖があってとても塩辛いけれど、烏賊の精のこくと味は、格別である。使い方は、醤油と同様に調味料として使う。薄めて刺身のタレにしてもよし。野菜をつけてもよし。料理の下味、隠し味にも重宝する。
能登半島の内浦(富山湾側)の能都町宇出津では、烏賊が原料の「いしり」である。一方、外浦(日本海側)の輪島では、鰯の内蔵を原料とする「いしる」となる。
「魚醤油」とは、ずばり「魚類で作った醤油」のことです。醤油を原料によって分類すると、次の2つに大別されます。
・穀醤 : 大豆や小麦を原料とした調味料
・魚醤 : 魚類を原料として作った調味料
私たちが日常使っている醤油は、穀醤です。
能登の「いしり」や「いしる」は、魚類を原料として作った醤油で、秋田の「しょっつる」や四国の「いかなご」と並び日本を代表的する魚醤です。最近は、その独特のうまみで、能登を旅した人を中心にファンが増えています。
魚醤は、奈良時代、中国から伝来した穀醤より以前から作られており、日本の醤油の原点とも言えます。
また、魚醤は、東南アジアの各国でも作られています。次のものが代表例です。
・ニョクマム(ベトナム)
・ナンプラー(タイ)
・タク・トレイ(カンボジア)
いしり鍋の作り方
材料
魚介類 烏賊 小海老
野菜類 茄子 大根 人参 春菊 椎茸 榎茸
たれ いしり 酒 みりん 水
作り方
1 鍋の具を下ごしらえ=茄子は半月に薄く切る。大根は短冊切りにする。人参は輪切りにして梅型に抜く。春菊は、傷んだり汚れた葉先を除き、長さを揃える。
椎茸の石突きは手でひねってとり、かさの裏を軽く洗い、大きいものは2つに切る。榎茸は、白身を帯びた新鮮なものを選び、根本の部分は切り捨てる。
烏賊は、胴のほうを輪切りにする。足も適当な大きさに切る。小海老は、さっと洗って頭を取り、殻をむいて背わたを取る。
2 割下の準備= いしりに酒、みりん、水を適量入れ、5~10倍に希釈する。
3.いしり鍋の煮方=鍋は、帆立貝の殻の鍋でなくとも、土鍋や鉄鍋等適宜用意する。
材料を鍋に並べて入れ、割下をかける。鍋を火にかけ、一煮立ちしたら出来上がり。
あまり煮詰まらないうちに食べるほうが、美味しい。
民宿「遠嶋」の若奥様(桜井恵子さん)に聞く —醤油として。 いしりは、イカ刺し食べるとき山葵なしで醤油の代わりにつけて食べても美味しいですよ。
べん漬け
いしりの漬け物(大根、人参、胡瓜 etc.)をこちらでは「べん漬け」といって、じいちゃんたちが若い頃よく食べたそうです。時々囲炉裏で焼いたりして食べるのが美味しかったとのことです。
「いしる」風寄せ鍋の作り方
□材料(4人前)
●鯛、または白身魚・・・300g
●えび・・・4尾
●鶏肉・・・200g
●いか・・・4尾
●焼き豆腐・・・1丁
●ネギ・・・2本
●春菊・・・2わ
●人参・・・少々
●生麩・・・1本
●白菜・・・600g
●ほうれん草・・・少々
●生椎茸・・・少々
●煮汁・・・だし(4カップ)、みりん(大さじ2)、薄口醤油(大さじ4)、
「いしる」または「いしり」(大さじ4)
材料は、季節の新鮮なものなら何でも使えます。
□作り方
●(具の下ごしらえ)
・鯛は小さめの切り身に切る。
・いかは皮をむきひと口大に切る。
・鶏肉は、そぎ切りにする。
・焼き豆腐は奴に切る。
・春菊は、堅い軸を除く。
・ネギは、縦割り4センチに切る。
・人参は、5センチ角に切る。
・生椎茸は、軸を取り切り目を入れる。
●(鍋に具を入れる)
・土鍋に分量の調味料を合わせ入れ、火にかける。
・煮立ったら、魚、鶏肉を入れ、次々に他の材料を足しながら煮る。
・ 煮えたところで好みのものを煮汁と一緒に器に取って食べる。
・
いしりの入手先
製造販売元 : 寺下又蔵商店
石川県鳳至郡能都町宇出津港 TEL:0768-62-0312
夏期限定販売(8月下旬より)
製造販売元 : 坂田屋
石川県鳳至郡能都町宇出津 TEL:0768-62-0204
いしるの入手先
製造販売元 : 株式会社 尾崎
石川県輪島市鳳至下町 TEL:0768-22-0171
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(5月2日現在1814本)
1797 「いしり」の美味さ 渡部亮次郎

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