1809 パンダ貸与が最大の成果? 花岡信昭

中国の胡錦濤国家主席が来日した。本来はこの時期をずらすのがよかったのだろうが、日中双方にそういう判断は働かなかった。中国側はやはり北京五輪前に日本との関係改善を国際社会に強調したかったのだろう。
初日の6日は日比谷公園の松本楼で福田首相主催の非公式夕食会。孫文ゆかりのレストランで、なるほど、あれこれ気を遣っている双方の思惑が分かる。公園内に独立している建物だから、警備もしやすいという判断があったのか。
やはり「パンダのつがい貸与」が胡錦濤主席の最大のお土産となった。リンリンはタイミングよく死んだものだ、などというとかわいそうだが、パンダを日中友好の武器に使う当事者の「知恵」は、もうひからびているのではないか。
パンダによって、チベット問題や毒ギョーザ事件、一連の反日姿勢など日中間の懸案が吹き飛んでしまうのでは、お笑いモノといわなくてはなるまい。
7日の首脳会談で、福田首相がチベット問題などにどう言及するかが焦点だ。なにも言わなかったというのであれば、これは国際社会には通用しない。ぴしっときつくやれば、国内政局から見ても、福田首相のカブは上がる。
日中の立場はかつてとは一変した。今回、打ち出される共同文書でも過去の歴史をめぐる「反省と謝罪」は盛り込まれない見通しという。
10年前の江沢民国家主席来日のさい、日本記者クラブでの会見の模様を未だに覚えているが、謝罪と反省をせまり、言いたい放題という雰囲気だった。会見場が妙にざわつき、緊張したのを思い出す。
今回はそれとはまったく異るようだ。立場が悪くなっているのは中国側だ。であるならば、ここはこの機会を思い切り「利用」することだ。
北朝鮮の拉致問題をめぐって中国側に北へのプレッシャーをかけるよう求めることも忘れてはなるまい。
福田政権がいつまで続くかはともかく、これによって、政権の最大の「功績」として、胡錦濤国家主席の訪日による日中関係改善が最上位にランクされるのは間違いない。
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