1817 ヒル国務次官補の巻き返し 古沢襄

中国の胡錦濤国家主席の来日に気をとられている中に、北朝鮮をめぐって米国務省がおかしな動きをみせている。ワシントンから古森義久産経特派員がウォールストリート・ジャーナルの社説を伝えてきた。
また韓国の朝鮮日報がAP通信社の報道を引用しながら「北朝鮮が核開発計画に関する申告書を6カ国協議の議長国である中国に提出し、これを受け米国が北朝鮮を”テロ支援国家”のリストから削除する方針を米国議会に通告すれば、昨年10月以来中断してきた6カ国協議も今月末ごろに再開される」と一歩踏み込んだ。
ヒル国務次官補の巻き返しが進んでいる様である。拉致問題を棚上げにして、米国がテロ支援国家のリストから北朝鮮を削除することに踏み切れば、日本の福田内閣はどう対応するのであろうか。洞爺湖サミットなんて言っておれない。
<【ワシントン=古森義久】米国の大手紙ウォールストリート・ジャーナルは8日付社説で北朝鮮との「核合意」を急ぐ国務省がヒル次官補の主導で同じ省内の検証部門を北との交渉から意図的かつ組織的に排除していると報じた。
「検証者を拒む」と題する同社説は、まず国務省内に1999年に創設された「検証・順守・履行局」が核兵器など大量破壊兵器の拡散防止やそれに関連する軍縮の国際協定の順守の確認を任務とすることを説明し、2003年のリビアの核兵器破棄にも大きな役割を果たしてきた経緯を説明した。
そのうえで同社説はこの検証局が今回の北朝鮮の核兵器開発阻止のための交渉では主要な会合からすべて排除され、寧辺のプルトニウム抽出のための軽水炉な「無能力化」にも同局の専門官が一人も加えられていない、と指摘した。
同社説はこの検証局の排除は北朝鮮との交渉にあたるクリス・ヒル国務次官補(東アジア太平洋担当)の意図により2005年の中ごろから始まったという関係者の証言を紹介する一方、ヒル次官補は国防総省の検証部門をも北朝鮮の核破棄の検証作業から排している、と述べた。
同社説はこの検証局の排除はヒル次官補と上司のコンドリーザ・ライス国務長官が「北朝鮮の核破棄」の成功を宣伝したいあまりの操作であり、このままだと北朝鮮の核兵器用プルトニウムやウランの所在が不明のまま「核破棄合意」の成立が発表される恐れがある、と警告した。(産経)>
<AP通信は9日、米国務省高官の話を引用し、北朝鮮が8日、プルトニウムの生産に使ってきた原子炉(閉鎖済み)の工程日誌など、核兵器に関する重要な書類を米国側に提出した、と報じた。
北朝鮮はこの日、平壌を訪問している米国務省のソン・キム韓国課長にこれらの書類を手渡したという。米国務省の関係者は「これらの書類は、北朝鮮がどれだけの量のプルトニウムを生産したのか、また核開発計画に関する申告書の内容と一致するかについて検証できる資料となる」と話している。
これにより、4カ月以上にわたってこう着状態が続いてきた、北朝鮮の核開発に関する申告の問題の解決に向け、突破口を開けるかどうかが注目される。
ソン・キム課長は8日、核開発に関する申告の問題について最終的な調整を行うため、板門店を経由し陸路で訪朝した。米国の自由アジア放送(RFA)がこの日報じたところによると、クリストファー・ヒル米国務次官補はソン・キム課長の訪朝の目的について、「北朝鮮側から核開発に関する申告書を受け取るためだ」と周囲に話したという。ソン・キム課長は早ければ9日にソウルへ戻り、韓国側の当局者に対し訪朝の結果について説明するという。
北朝鮮が来週ごろに、核開発計画に関する申告書を6カ国協議の議長国である中国に提出し、これを受け米国が北朝鮮を「テロ支援国家」のリストから削除する方針を米国議会に通告すれば、昨年10月以来中断してきた6カ国協議も今月末ごろに再開されるものとみられる。
一方、米朝両国は、米国の北朝鮮に対する食糧支援についてほぼ合意に達したという。(朝鮮日報)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト(5月2日現在1814本)

コメント

タイトルとURLをコピーしました